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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻2号

2023年02月発行

文献概要

特集 しびれQ&A—ビビッとシビれるクリニカルパール付き! 【しびれ診療のQに答えます!】

Q3 体幹のしびれへのアプローチは?

著者: 杉田陽一郎1

所属機関: 1東京ベイ・浦安市川医療センター 神経内科

ページ範囲:P.154 - P.157

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CASE
患者:64歳、男性。
主訴:体感部感覚鈍麻、微熱持続。
現病歴:来院18日前頃から37℃台の微熱と最初は左鼠径部に皮1枚貼ったような感覚があり、その後その感覚が両側へ広がり、さらに上行していき乳頭部まで拡大した。また同時期に坐位・立位で左下腹部が膨隆するように感じた。歩行に問題はなく、排尿障害はなかった。
身体所見:皮疹は指摘できず、坐位や立位で左下腹部が膨隆する所見(図1)を認め、同部位の筋緊張は低下していた。“cervical line”で非連続の感覚障害と、デルマトームC8〜Th12領域に連続する感覚障害を認めた。その他、下肢の運動障害や感覚障害、膀胱直腸障害は指摘できず、Beevor徴候は陰性、腱反射は上下肢いずれも正常範囲内、病的反射(Babinski徴候)は陰性であった。

参考文献

1)Waldman SD, 2002/太田光泰,他(訳):臨床でよく出合う—痛みの診療アトラス.医学書院,2014. 〈普通の教科書には載っていない“はざま領域”のしびれ疾患について詳しく解説されている〉
2)福武敏夫:胸腹部のデルマトームと感覚障害.脊椎脊髄 32(1):6-17,2019. 〈体幹部の感覚障害に関して非常に詳細な解説があり、勉強になる〉
3)Weeks RA, et al : Abdominal pseudohernia caused by diabetic truncal radiculoneuropathy. J Neurol Neurosurg Psychiatry 66(3) : 405, 1999. PMID 10084546 〈糖尿病性体幹部ニューロノパチーによる腹部膨隆の写真がわかりやすい〉
4)亀山隆:Beevor徴候.脊椎脊髄 28(4) : 348-350, 2015. 〈Beevor徴候に関してとても詳しく解説されている〉
5)Uzawa A, et al : Truncal polyradiculopathy due to sarcoidosis. J Neurol Sci 281(1-2) : 108-109, 2009. PMID 19339022 〈サルコイドーシスによる胸髄領域の神経根障害に関してまとめられている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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