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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻2号

2023年02月発行

文献概要

特集 しびれQ&A—ビビッとシビれるクリニカルパール付き! 【しびれ診療のQに答えます!】

Q7 アルコール性とビタミンB欠乏性ニューロパチーの鑑別方法は?

著者: 鎌田智幸1

所属機関: 1武蔵野赤十字病院 神経内科

ページ範囲:P.171 - P.173

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CASE
患者:68歳、男性。
主訴:両手足のしびれ、痛み。
現病歴:62歳時から両足の先端の冷感を自覚。夏でも冷たく感じて布団をかけていた。両手掌に汗をかかなくなっていた。65歳頃から足先のピリピリ感が出現し、67歳で両手両足先が包まれているような痛みが現れた。ビタミン薬を内服するも改善なし。68歳時にはしびれや痛みが強くなり、神経内科を受診。
既往歴:痛風・高血圧・脂質異常症(56歳)。
内服歴:アロプリノール、ロサルタン、ロスバスタチン、ベンフォチアミン・B6・B12配合剤。
生活歴:飲酒:若い頃からの大酒家、日本酒4合/日、ウイスキーボトル1本/4日。食事:3食/日、偏食なし。
身体所見:意識清明。血圧105/65mmHg、心拍数75回/分 整、呼吸数14回/分、体温36.8℃。るい痩なし。神経学的所見としては脳神経に異常なし、運動系では筋力低下なし、感覚系では両下肢足関節より遠位にビリビリとする異常知覚、両下肢で痛覚過敏、温度覚・触覚は軽度低下、振動覚は足関節外果で右9秒、左5秒、橈骨遠位端で右17秒、左18秒、位置覚正常。深部反射は両上肢と両膝蓋腱反射は低下、両アキレス腱反射は消失、病的反射なし、協調運動障害なし。歩行起立正常。両手掌の発汗低下。起立性低血圧および膀胱直腸障害は見られず。

参考文献

1)Chopra K, et al : Alcoholic neuropathy ; possible mechanisms and future treatment possibilities. Br J Clin Pharmacol 73(3) : 348-362, 2012. PMID 1988193
2)Julian T, et al : Alcohol-related peripheral neuropathy ; a systematic review and meta-analysis. J Neurol 266(12) : 2907-2919, 2019. PMID 30467601 〈アルコール性ニューロパチーのシステマティックレビュー〉
3)塩尻俊明:非専門医が診るしびれ.pp116-123,羊土社,2018. 〈一般医向けに「しびれ」の症状にフォーカスを当てた良書〉
欠乏性ニューロパチーが、臨床病理学的にはっきりと別のものであることを示した〉
5)佐藤亮太,他:ビタミン欠乏性ニューロパチーとアルコール性ニューロパチー.BRAIN and NERVE 71(9):1019-1024,2019.
6)小池春樹:代謝性・栄養性・ 薬剤性ニューロパチー.日内会誌108(8):1530-1537,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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