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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻2号

2023年02月発行

文献概要

特集 しびれQ&A—ビビッとシビれるクリニカルパール付き! 【しびれ診療のQに答えます!】

Q8 Guillain-Barré症候群の初期症状は?

著者: 西田陽一郎1

所属機関: 1東京医科歯科大学 脳神経病態学分野〈脳神経内科〉

ページ範囲:P.174 - P.176

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CASE
患者:30歳、女性。
主訴:開鼻声と飲み込みにくさ。
現病歴:8日前に頻回の下痢と下腹部痛、38.2℃の発熱があり、ウイルス性腸炎の診断で整腸薬を処方され数日で軽快した。2日前の朝より右手首から先に正座後のようなビリビリする異常感覚を自覚し、夕方には同様の異常感覚が左手にも加わった。今朝起床時より声が鼻に抜け、食事の際に水分が鼻に逆流してしまうため外来を受診。
ROS:頭痛なし、頸部痛なし、筋力低下なし。
既往歴:左突発性難聴(27歳)。
内服薬:なし。数カ月以内のワクチン接種歴なし。
生活歴:職業は会社員。飲酒歴・喫煙歴なし。
身体所見:意識清明。身長161.7cm、BMI 19.4。血圧104/65 mmHg、心拍数72回/分、呼吸数14回/分、体温36.8℃、SpO2 96%(室内気)。口腔内に異常はないが、開鼻声であり、10mLの飲水でも鼻への逆流を認めた。神経学的には両側眼瞼下垂と両眼の上下転と外転に制限があり、顔面や四肢で筋力低下は認めないが、失調があり、深部腱反射は消失していた。病的反射は陰性。両手首から先にビリビリとした異常知覚があり、触覚や痛覚は異常がなかったが、振動覚は近位優位に低下していた。歩行は体幹が動揺しており、片足立ちやMann肢位での起立位は不能。

参考文献

1)日本神経学会(監),「ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン」作成委員会:ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン 2013,南江堂,2013. 〈発行されたのが少し古いが、Guillain-Barré症候群の 症状・検査・診断・治療に加え、疾患概念・疫学・予後・病態がわかりやすくまとめられているわが国の診療ガイドライン。〉
2)Leonhard SE, et al : Diagnosis and management of Guillain-Barré syndrome in ten steps. Nat Rev Neurol 15(11) : 671-683, 2019. PMID 31541214 〈Guillain-Barré症候群の診断や急性期治療、そして予後やリハビリテーションに関して、10個のtipsに分けて解説している比較的最近の総説〉
3)Wakerley BR, et al : Guillain-Barré and Miller Fisher syndromes ; new diagnostic classification. Nat Rev Neurol 10(9) : 537-544, 2014. PMID 25072194 〈Guillain-Barré症候群やFisher症候群の病型がわかりやすく分類されている〉
4)Florian IA, et al : To be, or not to be… Guillain-Barré Syndrome. Autoimmun Rev 20(12) : 102983, 2021. PMID 34718164 〈Guillain-Barré症候群を診断する際に鑑別となる中毒や感染症、代謝性疾患などに関して、網羅的かつ詳細にまとめられている〉
5)Laman JD, et al : Guillain-Barré syndrome ; expanding the concept of molecular mimicry. Trends Immunol 43(4) : 296-308, 2022. PMID 35256276 〈Guillain-Barré症候群の病型ごとに関連が認められることが多い抗ガングリオシド抗体の種類が、わかりやすい図で示されている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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