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特集 しびれQ&A—ビビッとシビれるクリニカルパール付き!
【しびれ診療のQに答えます!】
column Guillain-Barré症候群とCOVID-19やワクチン接種
著者: 西田陽一郎1
所属機関: 1東京医科歯科大学 脳神経病態学分野〈脳神経内科〉
ページ範囲:P.177 - P.177
文献概要
新型コロナウイルスに伴うGuillain-Barré症候群発症には、❶ウイルスの神経への直接浸潤による障害、❷IL-6やTNF-αなどサイトカイン上昇を伴う炎症による障害、❸抗ガングリオシド抗体などの抗体介在性の障害、の3つの機序が想定されている1)。これまで報告されたCOVID-19に伴うGuillain-Barré症候群の脳脊髄液では、SARS-CoV-2ウイルスPCR陽性例はなく、ウイルスの髄腔内での増殖は示唆されないため❶は否定的であり、❸についてはSARS-CoV-2とヒトの間でゲノムの類似性が乏しく、抗ガングリオシド抗体はGuillain-Barré症候群で10%、Fisher症候群でも20%しか陽性でなかった。COVID-19発症から神経症状の発現までの中央値が11日と短いことや、神経症状発現時に血清の炎症反応が73%の患者で陽性だったため、❸よりも❷による発症機序がより想定されており、細胞性免疫が重要と思われている1)。
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