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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻2号

2023年02月発行

文献概要

特集 しびれQ&A—ビビッとシビれるクリニカルパール付き! 【しびれ診療のQに答えます!】

Q11 しびれ症状から脊髄障害を見極める方法は?

著者: 河合ほなみ1 横田隆徳1

所属機関: 1東京医科歯科大学病院 脳神経内科

ページ範囲:P.185 - P.189

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CASE
患者:68歳、男性。
主訴:左脚がしびれる。
現病歴:約1カ月前より左下腿後面にビリビリとした疼痛が出現して、徐々に大腿後面、陰部・臀部に拡大した。約3週間前から左のつま先がつっかかるようになった。約1週間前から尿意をあまり覚えず、下腹部が張るようになり、近医泌尿器科で膀胱留置カテーテルが挿入された。近医で脊髄病変が疑われ、精査目的に入院となった。
ROS:皮疹なし、発熱なし、腰痛なし、間欠性跛行なし。
既往歴:生来健康。内服薬なし。
生活歴:会社員。喫煙歴なし、機会飲酒。
身体所見:意識清明。体温36.6℃、その他バイタルサインに特記事項はなし。神経学的には左の臀部・大腿後面・下腿後面および陰部にビリビリとした異常感覚を認め、同部位に痛覚・触覚低下があった。肛門の周囲の感覚は保たれていた。母趾位置覚と下肢の振動覚は左で低下していた。徒手筋力テストで、左の前脛骨筋(主にL5髄節支配)と下腿三頭筋(主にS1支配筋)は4であり、膝蓋腱反射(反射弓L3、L4)は両側で正常で、アキレス腱反射(反射弓S1、S2)は左で減弱していた。Babinski徴候は両側で陰性で、痙性は認めなかった。尿意を伴わない尿閉に対して膀胱留置カテーテルを使用中であり、肛門反射は減弱していた。

参考文献

1)Mathias B, et al. 2012/花北順哉(訳):神経局在診断—その解剖・生理・臨床,改訂第6版.文光堂,2016. 〈ベッドサイドでの神経学的局在診断の力が身につく教科書〉
2)横田隆徳:脊髄障害部.矢﨑義雄,他(総編集):内科学,第12版.第Ⅴ巻,pp184〜185,朝倉書店,2022. 〈脊髄障害に関する記載が端的にまとまっている〉
3)三好光太:解剖学的(神経学的)診断と画像診断の乖離.BRAIN and NERVE 71(3) : 249-256, 2019. 〈脊椎および脊髄疾患の診療における障害高位の同定の注意点についてのふんだんな図表を交えた解説つき〉
4) 犬飼晃他:抗体価指数による髄腔内抗体産生の評価が病因診断確定に有用であったzoster sine herpeteにともなう脊髄炎の1例:臨床神経50(9) : 634-640, 2010. 〈VZV脊髄炎の病態、診断方法、治療について、わかりやすい解説を含む症例報告〉
5)塩尻俊明:非専門医が診るしびれ—しびれパターンによる分類と病態生理からわかる鑑別疾患.羊土社,2018. 〈しびれの鑑別に役立つふんだんな図と要所を押さえた説明がある本〉
6)Mariano R, et al : A practical approach to the diagnosis of spinal cord lesions. Pract Neurol 18(3) : 187-200, 2018. PMID 29500319 〈脊髄障害の発症様式および経過と、画像所見から鑑別疾患を示したreview〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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