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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻3号

2023年03月発行

文献概要

特集 —自信がもてるようになる!—エビデンスに基づく「糖尿病診療」大全—新薬からトピックスまで 【Ⅰ章】「薬物療法」の新スタンダード

❶2型糖尿病の薬物療法の「考え方」

著者: 能登洋1

所属機関: 1聖路加国際病院 内分泌代謝科

ページ範囲:P.262 - P.267

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 糖尿病診療の目的は、血糖コントロールを良好にすることだけではなく、リスク因子のコントロールと合併症の抑制をし、最終的には糖尿病のない人と変わらない寿命とQOLを確保することである1)。現在、糖尿病治療薬は百花繚乱の状態であるため、病態や合併症・併発症、臨床的アウトカムのエビデンスなどをもとに薬物を選択することが重要である。本稿では、「アウトカム」と「実用性」を重視した日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会『糖尿病標準診療マニュアル2022』2)に沿って解説する。

参考文献

1)日本糖尿病学会(編・著):糖尿病治療ガイド2022-2023.文光堂,2022.
2)日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会:糖尿病標準診療マニュアル2022 (一般診療所・クリニック向け)(第18版).2022. https://human-data.or.jp/dm_manual(2023年2月3日現在) 〈無料公開。2023年4月に改訂版発行予定。このマニュアル活用励行により、糖尿病診療の質が向上することが実証されている〉
3)日本糖尿病学会コンセンサスステートメント策定に関する委員会:2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム.糖尿病 65(8) : 419-434, 2022. 〈Step 1として病態に応じた薬剤選択、Step 2として安全性への配慮、Step 3としてadditional benefitsを考慮するべき併存疾患をあげ、Step 4として考慮すべき患者背景をあげて、薬剤を選択 するアルゴリズムになっている〉
4)Hong J, et al:Effects of metformin versus glipizide on cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and coronary artery disease. Diabetes Care 36(5) : 1304-1311, 2013. PMID 23230096 〈中国人対象の二次予防RCT。SU薬と比べ、メトホルミンのほうがリスクが有意に低値であった〉
5)Tanabe M, et al: Reduced vascular events in type 2 diabetes by biguanide relative to sulfonylurea; study in a Japanese Hospital Database. BMC Endocr Disord 15 : 49, 2015. PMID 26382923 〈SU薬と比較し、ビグアナイド薬は大血管症の一次・二次予防において有意にリスクを低下させることが示唆された(日本人対象の観察研究)〉
6)Komaru Y, et al: Recurrent cardiovascular events in patients with newly diagnosed acute coronary syndrome; influence of diabetes and its management with medication. J Diabetes Complications 34(3) : 107511, 2020. PMID 31928892 〈メトホルミンは心血管疾患二次予防に有効であることが示唆された(日本人対象の観察研究)〉
7)Suzuki K, et al: Identification of 28 new susceptibility loci for type 2 diabetes in the Japanese population. Nat Genet 51(3) : 379-386, 2019. PMID 30718926 〈2型糖尿病のゲノムワイド関連解析〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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