icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻3号

2023年03月発行

文献概要

特集 —自信がもてるようになる!—エビデンスに基づく「糖尿病診療」大全—新薬からトピックスまで 【Ⅱ章】基本が大事!ちゃんとできてる?“おさらい”糖尿病診療

❷糖尿病患者が定期的に行ったほうがよい検査

著者: 及川洋一1 島田朗1

所属機関: 1埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科

ページ範囲:P.293 - P.295

文献購入ページに移動
Case
尿中アルブミン排泄量の定期測定によって早期に糖尿病性腎症第2期と診断し、治療介入により腎症の寛解がみられた一例
患者:47歳、男性
現病歴:39歳の時、健診を契機に2型糖尿病と診断された。著明な肥満があり、高血圧症も認めたため、ビグアナイド薬とカルシウム拮抗薬が開始されたが、近年はHbA1c 8%前後、血圧150/100mmHg程度と、血糖・血圧ともにコントロール不良であった。
 半年に1回の頻度で定期的に尿アルブミン排泄量を測定していたところ、46歳の時に2回続けて100mg/gCr台となり(eGFRは60mL/分/1.73m2程度)、糖尿病性腎症第2期と診断した。ただちにSGLT2阻害薬を開始した結果、肥満の是正とともにHbA1cは6%台にまで改善し、塩分制限(1日6g)とARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)の追加投与によって、血圧は120/80mmHg程度で推移した。1年後には腎症第1期への寛解がみられた。

参考文献

1)糖尿病性腎症合同委員会:糖尿病性腎症病期分類2014の策定(糖尿病性腎症病期分類改訂)について.日腎会誌 56(5):547-552, 2014.
2)日本糖尿病学会:糖尿病合併症とその対策.糖尿病治療ガイド2022-2023. pp81-97,文光堂,2022. 〈糖尿病診療に関する標準コンセプトが記載されたガイドブック〉
3)猪股茂樹,他: 日本腎臓学会・日本糖尿病学会糖尿病性腎症合同委員会報告.糖尿病性腎症の新しい早期診断基準.日腎会誌 47(7) : 767-769, 2005. 〈糖尿病性腎症の早期診断基準の策定について記載されている〉
4)Yoshida Y, et al: Conditions, pathogenesis, and progression of diabetic kidney disease and early decliner in Japan. BMJ Open Diabetes Res Care 8(1) : e000902, 2020. PMID 32205326 〈アルブミン尿を伴わずに腎機能の低下がみられる糖尿病症例の臨床像がまとめられている〉
5)Sugiyama T, et al: Variation in process quality measures of diabetes care by region and institution in Japan during 2015-2016; an observational study of nationwide claims data. Diabetes Res Clin Pract 155 : 107750, 2019. PMID 31229599 〈わが国における糖尿病関連検査の実施状況の実態を調査した研究論文〉
6)Araki S, et al: Factors associated with frequent remission of microalbuminuria in patients with type 2 diabetes. Diabetes 54(10) : 2983-2987, 2005. PMID 16186402 〈腎症第2期から第1期への寛解率とその予測因子を明らかにした論文〉
7)坊内良太郎,他:2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム.糖尿病 65(8) : 419-434, 2022. 〈日本糖尿病学会が刊行した2型糖尿病の治療アルゴリズムに関するコンセンサスステートメント〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?