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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻3号

2023年03月発行

文献概要

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・74

“Hi-Phy-Image”で乗り越えよう!

著者: 比嘉真凡1 佐藤直行1 徳田安春2

所属機関: 1かりゆし会 ハートライフ病院 総合内科 2臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄センター

ページ範囲:P.366 - P.370

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CASE
患者:52歳、女性。
主訴:心窩部痛、発熱、右腰痛。
現病歴:当院入院前日の午前3時頃に心窩部から下腹部中央にかけての腹痛が出現し、目が覚めた。腹痛は絞られるような波のある痛みで、嘔気・嘔吐はない。のたうちまわるほど痛みが強くて冷や汗も出た。我慢していたら少し眠れたが、再度目を覚ました時にも腹痛があったため、同日朝にかかりつけの近医を受診した。診察では当初、腹部全体に圧痛があったが、反跳痛はなく、検査などが終わる頃には圧痛は心窩部に限局していた。採血では白血球11,100/μL以外に肝腎機能に異常はなく、血清アミラーゼやCRPの上昇はなかった。エソメプラゾール20mgが処方され、翌日に当院を受診するよう紹介状を渡され帰宅となった。帰宅後に悪寒と38.5℃の発熱があり、アセトアミノフェンを内服した。食事は摂らずに飲水のみで我慢していたが、飲水しても腹痛の増悪はなかった。右の腰痛もいつの間にか出現しており、発熱も腹痛も持続するため、当院消化器内科を紹介受診した。
 頭痛や呼吸器症状、下痢、黒色便、関節痛、排尿時痛、頻尿、残尿感、めまい、しびれ、脱力はない。消化器内科で評価後、造影CTで尿路感染症が疑われ、同日当科に入院依頼となった。
既往歴・内服薬:本態性高血圧症、不安神経症で近医通院中。定期内服はアムロジピン2.5mg/日のみ。毎年健診を受けている。2カ月前に下部消化管内視鏡検査、1カ月前に上部消化管内視鏡検査も受けており、十二指腸下降部の憩室の指摘のみだった。手術歴なし。市販薬やサプリメントなどの内服なし。
家族歴:悪性腫瘍や心血管系疾患を含め、特記事項なし。
社会歴:飲酒歴:ビール350mLを2本/日。喫煙歴:10本/日を30年間。アレルギー:薬剤・食物共になし。

参考文献

1)Campos-Franco J, et al: Acute focal bacterial nephritis in a cohort of hospitalized adult patients with acute pyelonephritis ; assessment of risk factors and a predictive model. Eur J Intern Med 39 : 69-74, 2017. PMID 27986362
2)Song HK, et al: Clinical investigation on acute pyelonephritis without pyuria ; a retrospective observational study. J Yeungnam Med Sci 39(1) : 39-45, 2022. PMID 34411474
3)Janett S, et al: Pyuria and microbiology in acute bacterial focal nephritis ; a systematic review. Minerva Med 110(3) : 232-237, 2019. PMID 30809996
4)Nadeem S, et al: Pyuria and urine concentration for identifying urinary tract infection in young children. Pediatrics 147(2) : e2020014068, 2021. PMID 33514634
5)樋口大,他:膿尿陰性を呈する腎盂腎炎の臨床像とその診断方法についての検討.島根県中病医誌 44 : 51-54, 2020.
6)Farné GM, et al: Spontaneous perforated duodenal diverticulum ; wait or cut first? Dig Dis Sci 66(9) : 2876-2880, 2021. PMID 34155566
7)Kim SH, et al: Gastrointestinal tract perforation; MDCT findings according to the perforation sites. Korean J Radiol 10(1) : 63-70, 2009. PMID 19182505
8)上田剛士(監),吉川聡司(著):ジェネラリストと学ぶ 総合画像診断—臨床に生かす!画像の読み方・考え方.医学書院,2022 〈症例を通じて、臨床情報を基に病態を考えながら読影する方法をわかりやすく解説してある実践的な良書(既に名著と言っても過言ではない)。総論は必読〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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