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文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻4号

2023年04月発行

文献概要

What's your diagnosis?[244]

逆立ちした猛獣の100万ボルト〜!!

著者: 猪飼浩樹1 酒見英太2

所属機関: 1中部ろうさい病院 内科(リウマチ膠原病・腎感染症内科) 2洛和会音羽病院

ページ範囲:P.400 - P.403

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病歴
患者:50代、男性
主訴:間欠的軟便、倦怠感
現病歴:受診10年前にATL(成人T細胞白血病)に対し、放射線療法、化学療法、骨髄移植を受けて完治した。3年前に1週間程度の頻回の軟便を認めたため近医総合病院を受診したところ、原因不明の急性腎不全と診断され、計3回血液透析を受けたことがある。その後は透析を必要とせず経過していた。1週間前から感冒症状(咳嗽、喀痰、咽頭痛)と共に軟便が続き、当日、元気がなくぐったりしているとのことで、同僚に連れられ救急外来を受診した。
 軟便についての詳細は以下の通り。6年前から便の性状の変化を認めた。時に薄茶色水様便もあるが、基本1日4〜5回程度の便意を伴う泥状便であった。1カ月の間に、連続して1週間程度軟便を認める時期と、普通便が出る3週間を繰り返していた。食事の種類による下痢の増悪・寛解には気づいていない。血便および黒色便は経過中認めたことはない。夜間下痢のため目が覚めてしまうこともなかった。来院1週間前までは普通便が出ていたが、ここ1週間は軟便が再発しており、腹圧をかけなくても軟便は出てしまう。
陰性所見:悪寒・発熱、寝汗、悪心・嘔吐、腹痛、背部痛、頻尿・残尿感、尿量減少、皮疹、火照り、瘙痒感、筋肉痛・関節痛、筋力低下・感覚異常、浮腫、立ち眩み
生活歴:九州出身、独身。運送業に従事。喫煙なし、機会飲酒のみ
既往歴:高尿酸血症、脂質異常症
内服薬:アロプリノール100 mg×2/日、アトルバスタチン10 mg
家族歴:特記事項なし

参考文献

1)岩下明徳:大腸villous tumorの病理診断—生検診断.癌化の問題を含む.胃と腸21 : 1303-1316, 1986.
2)丹羽浩一郎,他:Electrolyte depletion syndromeを呈した大腸絨毛腫瘍の1例.日外科系連会誌37(2) : 298-302, 2012.
3)Bruno A, et al : The McKittrick-Wheelock syndrome ; a rare cause of severe hydroelectrolyte disorders and acute renal failure. Case Rep Nephrol 2011 : 765689, 2011. PMID 24533197
4)McKittrick LS, et al : Carcinoma of the colon ; 1954. Dis Colon Rectum 40(12) : 1494-1495 ; discussion 1495-1496, 1997. PMID 9407991
5)Vanden Bulcke A, et al : Chronic diarrhea with renal insufficiency and electrolyte disturbances due to a Large Rectal Polyp. Gastroenterol Hepatol Open Access 6(4) : 100-104, 2017.
6)大野康治,他:Depletion syndromeを呈した直腸絨毛腫瘍の1例と本邦報告7例の検討.日消外会誌18(5) : 1016-1019, 1985.
7)矢野匡亮,他:Electrolyte depletion syndrome (EDS) を呈した直腸絨毛腫瘍の1例.日本大腸肛門病会誌66(1) : 43-48, 2013.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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