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特集 —疾患別“イルネススクリプト”で学ぶ—「腹痛診療」を磨き上げる22症例 【総論】
❶「腹痛」とは何か?—中身が見えない箱の中で行われている演劇
著者: 腹痛を「考える」会
所属機関:
ページ範囲:P.518 - P.525
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腹痛、特に急性腹症(急激に発症した腹痛のうち、早期の診断および緊急手術を含む迅速な対応が必要な腹部疾患)の診断能力を鍛えるための書籍を1冊だけあげるなら、『急性腹症の早期診断 第2版』1)を推薦する。本書の原著は、『The Early Diagnosis of the Acute Abdomen』2)で、初版は1921年である。
1972年の第14版までZachary Copeが単独執筆し、序文には「Murphyをはじめとした数多の先達に指導されたが、自分自身の経験から確認・証明できなかったことは一切記述していない」2)旨が述べられている。すなわち、先達の智慧にCope自身の経験から得た知見を加えた書籍である。1974年にCopeが逝去したあと、第15版から編集を引き継いだWilliam Silenも、Copeの執筆方針に従って自身の経験と観察に基づき改訂を行った。最新版は2010年の第22版であるが、初版から100年が経過した今も、急性腹症の症候に関する内容は十分に通用する。
腹痛、特に急性腹症(急激に発症した腹痛のうち、早期の診断および緊急手術を含む迅速な対応が必要な腹部疾患)の診断能力を鍛えるための書籍を1冊だけあげるなら、『急性腹症の早期診断 第2版』1)を推薦する。本書の原著は、『The Early Diagnosis of the Acute Abdomen』2)で、初版は1921年である。
1972年の第14版までZachary Copeが単独執筆し、序文には「Murphyをはじめとした数多の先達に指導されたが、自分自身の経験から確認・証明できなかったことは一切記述していない」2)旨が述べられている。すなわち、先達の智慧にCope自身の経験から得た知見を加えた書籍である。1974年にCopeが逝去したあと、第15版から編集を引き継いだWilliam Silenも、Copeの執筆方針に従って自身の経験と観察に基づき改訂を行った。最新版は2010年の第22版であるが、初版から100年が経過した今も、急性腹症の症候に関する内容は十分に通用する。
参考文献
1)Silen W. 2010/小関一英(監訳):急性腹症の早期診断 第2版.メディカル・サイエンス・インターナショナル,2012.
2)Cope Z : The Early Diagnosis of the Acute Abdomen. Henry Frowde and Hodder & Stoughton, London, 1921.
3)横田敏勝:臨床医のための痛みのメカニズム 改訂第2版.南江堂,1997.
4)Ruch TC : Chapter 19 ; Visceral sensation and referred pain. In Fulton JF (ed) : Howell's textbook of physiology 15th ed. pp385-401, W.B. Saunders Company, Philadelphia and London, 1946.
5)伊藤樹史:新デルマトーム[2015]の作成. 慢性疼痛 34(1) : 7-15, 2015.
6)Ryle JA : An address on the clinical study of pain ; with special reference to the pains of visceral disease. Br Med J 1(3508) : 537-540, 1928. PMID 20773792
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