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特集 知っておくべき!モノクロな薬たち(注:モノクローナル抗体の話ですよ〜) 【総論】
モノクローナル抗体の歴史と作製方法
著者: 和氣秀徳1
所属機関: 1近畿大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.644 - P.649
文献購入ページに移動抗体医薬品開発の歴史
抗体は動物が抗原に曝露されることで産生される蛋白質であり、その抗原に対して特異的に結合する性質を有している(図1)。この産生された抗体は、抗原のさまざまな部位(エピトープ)を認識する抗体の混合物であり、“ポリクローナル抗体”と呼ばれる。医薬品の品質管理の観点から、製品の安定性や均質性が求められるが、さまざまなエピトープを認識する抗体の混合物であるポリクローナル抗体は上記の条件を十分に満たすことができず、医薬品として用いるには問題が多かった。
しかしながら、1975年にG. KöhlerとC. Milsteinにより、同一のアミノ酸配列を持つ抗体を取得できるモノクローナル抗体作成技術が示されて以降、比較的均質な抗体を産生できるようになり、抗体医薬品開発の道が開かれることとなった1)。この技術は、1963年にY. Okadaらによって発見された細胞融合技術を利用して、抗原を免疫したマウスの脾臓より分離した抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合し、抗体産生細胞を不死化した後、1つの細胞に単離し、その細胞1個から細胞を増やすことで、単一の抗体をほぼ無限に増やすことのできる手法である。この技術により、医薬品に求められる品質の安定性を保ち、大量生産を行うことが可能となった。
抗体は動物が抗原に曝露されることで産生される蛋白質であり、その抗原に対して特異的に結合する性質を有している(図1)。この産生された抗体は、抗原のさまざまな部位(エピトープ)を認識する抗体の混合物であり、“ポリクローナル抗体”と呼ばれる。医薬品の品質管理の観点から、製品の安定性や均質性が求められるが、さまざまなエピトープを認識する抗体の混合物であるポリクローナル抗体は上記の条件を十分に満たすことができず、医薬品として用いるには問題が多かった。
しかしながら、1975年にG. KöhlerとC. Milsteinにより、同一のアミノ酸配列を持つ抗体を取得できるモノクローナル抗体作成技術が示されて以降、比較的均質な抗体を産生できるようになり、抗体医薬品開発の道が開かれることとなった1)。この技術は、1963年にY. Okadaらによって発見された細胞融合技術を利用して、抗原を免疫したマウスの脾臓より分離した抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合し、抗体産生細胞を不死化した後、1つの細胞に単離し、その細胞1個から細胞を増やすことで、単一の抗体をほぼ無限に増やすことのできる手法である。この技術により、医薬品に求められる品質の安定性を保ち、大量生産を行うことが可能となった。
参考文献
1)Köhler G, et al : Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity. Nature 256(5517) : 495-497, 1975. PMID 1172191
2)Jones PT, et al : Replacing the complementarity-determining regions in a human antibody with those from a mouse. Nature 321(6069) : 522-525, 1986. PMID 3713831
3)Steinitz M, et al : EB virus-induced B lymphocyte cell lines producing specific antibody. Nature 269(5627) : 420-422, 1977. PMID 198669
4)Marks JD, et al : By-passing immunization. Human antibodies from V-gene libraries displayed on phage. J Mol Biol 222(3) : 581-597, 1991. PMID 174899
5)Tomizuka K, et al : Double trans-chromosomic mice ; maintenance of two individual human chromosome fragments containing Ig heavy and kappa loci and expression of fully human antibodies. Proc Natl Acad Sci USA 97(2) : 722-727, 2000. PMID 10639146
6)Chiu ML, et al : Antibody structure and function ; the basis for engineering therapeutics. Antibodies (Basel) 8(4) : 55, 2019. PMID 31816964
7)亀田真由:2021年度国内医薬品ランキング.Answers News,2022年7月4日. https://answers.ten-navi.com/pharmanews/23443/
8)前田雄樹:2021年に世界で最も売れた薬は.Answers News,2022年7月11日. https://answers.ten-navi.com/pharmanews/23545/
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