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特集 “消去法”で考え直す「抗菌薬選択」のセオリー—広域に考え、狭域に始める 【抗菌薬選択クイズⅢ】スキルアップ! 抗菌薬の要否と選択
❷「フォーカス不明」の感染症の抗菌薬の要否と選択
著者: 的野多加志1
所属機関: 1飯塚病院 感染症科
ページ範囲:P.827 - P.831
文献購入ページに移動1|感染症診療における「臨床推論」
「医学は不確実性のサイエンスであり、確率のアートである」。このWilliam Oslerの言葉のように、医師は、ある“疾患らしさ”の確率を上げ下げしつつ診断を行っている。その手法は「臨床推論」と呼ばれ、「病歴聴取」「身体診察」「診断的検査」「コンサルテーション」から得られた情報を統合することで診断を導き出している。
確定診断にたどり着かない場合には、これらの必要な情報の何かが欠けているはずであり、なかでも「病歴」から得られる情報が最も重要だと考えられている(図1)1)。要するに、診断に重要なプロセスとは、患者と向かい合って詳細な病歴聴取と身体診察を行うことと、検査前確率を意識した適切な検査を行うことなのだ。決して、検査の乱れ打ちや、「発熱=COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」「発熱+CRP上昇=細菌感染症」といった短絡的な思考ではない。これらは、臨床推論の原則から大きく逸脱するものであり、診断エラーを起こしかねない。そもそも感染症は、悪性腫瘍や心血管系疾患と並び、「診断エラー(診断の見逃し、間違い、遅れ)」が多い疾患である2)。
「医学は不確実性のサイエンスであり、確率のアートである」。このWilliam Oslerの言葉のように、医師は、ある“疾患らしさ”の確率を上げ下げしつつ診断を行っている。その手法は「臨床推論」と呼ばれ、「病歴聴取」「身体診察」「診断的検査」「コンサルテーション」から得られた情報を統合することで診断を導き出している。
確定診断にたどり着かない場合には、これらの必要な情報の何かが欠けているはずであり、なかでも「病歴」から得られる情報が最も重要だと考えられている(図1)1)。要するに、診断に重要なプロセスとは、患者と向かい合って詳細な病歴聴取と身体診察を行うことと、検査前確率を意識した適切な検査を行うことなのだ。決して、検査の乱れ打ちや、「発熱=COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」「発熱+CRP上昇=細菌感染症」といった短絡的な思考ではない。これらは、臨床推論の原則から大きく逸脱するものであり、診断エラーを起こしかねない。そもそも感染症は、悪性腫瘍や心血管系疾患と並び、「診断エラー(診断の見逃し、間違い、遅れ)」が多い疾患である2)。
参考文献
1)Peterson MC, et al : Contributions of the history, physical examination, and laboratory investigation in making medical diagnoses. West J Med 156(2) : 163-165, 1992. PMID 1536065
2)World Health Organization : Technical Series on Safer Primary Care ; diagnostic Errors. https://www.who.int/publications/i/item/9789241511636(2022年6月12日現在)
3)Fusco FM, et al : Fever of unknown origin (FUO) ; which are the factors influencing the final diagnosis? A 2005-2015 systematic review. BMC Infect Dis 19(1) : 653, 2019. PMID 31331269
4)Gaeta GB, et al : Fever of unknown origin ; a systematic review of the literature for 1995-2004. Nucl Med Commun 27(3) : 205-211, 2006. PMID 16479239
5)Haidar G, et al : Fever of Unknown Origin. N Engl J Med 386(5) : 463-477, 2022. PMID 35108471
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