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特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門 【各論Ⅰ】発達障害を理解する—Caseに学ぶ典型例と対処法
❶自閉スペクトラム症(ASD)
著者: 神尾陽子12
所属機関: 1神尾陽子クリニック 2お茶の水女子大学 人間発達教育科学研究所
ページ範囲:P.1041 - P.1045
文献購入ページに移動3歳前にかかりつけ医が疑いをもち、セカンドオピニオンから早期療育につながった一例
患者:2歳6カ月、男児
家族歴:父方親族に注意欠如多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)。両親は健康。
発達歴:満期正常産。初期運動発達は正常。1歳10カ月で「ママ、パパ」の発語、2歳0カ月で「ママ、パパ」以外の有意味語「チュ(ジュースのこと)」「ジェ(ゼリー)」の発語あり。
現病歴:2歳すぎに「おともだち」「じょうず」など親の言葉を真似て言うことがあったが、以降は言わなくなった。かかりつけ医に言語の遅れを相談したところ、発達の遅れか自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)かの鑑別のため、セカンドオピニオンを求めて紹介受診となった。精査の結果、発達水準は平均範囲内で、遅れは除外された。発達水準に不相応な対人応答性およびコミュニケーションの希薄さと、興味の限局という特徴から、ASDと診断された。速やかにペアレント・トレーニングを行い、早期療育の専門機関を紹介した。療育と併行して地域の幼稚園(支援つき)に通い始めた半年後には2語文が出て、毎日楽しみに通園している。
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