icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻9号

2023年09月発行

文献概要

特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門 【各論Ⅰ】発達障害を理解する—Caseに学ぶ典型例と対処法

❷注意欠如多動症(ADHD)

著者: 岡牧郎1

所属機関: 1国立成育医療研究センターこころの診療部 児童・思春期 メンタルヘルス診療科

ページ範囲:P.1046 - P.1050

文献購入ページに移動
Case
落ち着きがなく、授業中に立ち歩く小学1年生の一例
患者:7歳5カ月、男児
家族歴:4歳の弟も同様に落ち着きがない。
現病歴:周生期に問題はなく、運動発達や言語発達に遅れはない。幼児期早期から落ち着きがなく、外出先では迷子になることがあった。就学後は、授業中に集中が続かず、姿勢を崩してよそ見をしていることが多かった。しばしば離席がみられ、衝動的な行動や対人トラブルが多かったため、学校から医療機関の受診を勧められた。知能検査では、知的発達の遅れは認められなかった。注意欠如多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)と診断後、環境調整をはじめとした心理・社会的治療が開始された。今後、改善が乏しい場合には、薬物治療が検討されている。

参考文献

1)American Psychiatric Association.2022/日本精神神経学会(日本語版監修),髙橋三郎,他(監訳):DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2023. 〈DSM-5のtext revision。9年ぶりのアップデートにより、疾患名の訳語も大幅に見直された。p.1088〉
2)Sonuga-Barke E, et al : Beyond the dual pathway model : evidence for the dissociation of timing, inhibitory, and delay-related impairments in attention-deficit/hyperactivity disorder. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 49(4) : 345-355, 2010. PMID 20410727 〈ADHDの神経心理学的病態として3つの障害説「triple pathway model」を提唱〉
3)齊藤万比古,他(編):注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン,第5版.じほう,2022. 〈ADHDに対する新たな治療薬が加わり、2022年にわが国の診断・治療ガイドラインが改訂された。p.1113〉
4)岡牧郎:併存症,遺伝子研究から発達性読み書き障害の病態を展望する.脳と発達50(4) : 253-258,2008. 〈ADHDと発達性ディスレクシアの併存について解説〉
5)齊藤万比古,他:反抗挑戦性障害.精神科治療学14(2) : 153-159,1999. 〈“DBDマーチ”を提唱〉
6)岡牧郎:小児てんかんと発達障害.小児の脳神経40(5) : 368-377,2015. 〈てんかんとADHDの併存について解説〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?