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特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門 【各論Ⅰ】発達障害を理解する—Caseに学ぶ典型例と対処法
❺発達障害と「心身症」
著者: 石崎優子12
所属機関: 1関西医科大学総合医療センター 小児科 2関西医科大学 小児科学講座
ページ範囲:P.1060 - P.1063
文献購入ページに移動大学生になり「適応障害」となった自閉スペクトラム症の一例
患者:18歳、男性。大学1年生。
家族歴:兄が自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)
現病歴:小・中学校時代は、新学期には学校に行き渋ることがあったが、慣れてくると登校していた。高校時代は、友人が多いほうではないが、同じ趣味をもつ少数の友人がいた。実家から離れた大学に進学し、しばらく経ったある日、母親に「眠れない」「数日前から食事がとれない」とメールが送られてきた。母親が驚いて下宿に行き、本人を連れて内科診療所を受診した。
診察室では、礼節は保たれており、医師との会話も成立するが、「どんな症状があるのか?」「何に困っているのか?」という問いかけに、まわりくどい回答をする。独特の文語的な言葉を使うが、何を言いたいのかわかりづらい。プライマリ・ケア医は、食欲不振は心身症であると考え、メンタルクリニックを紹介したところ、ASDおよび適応障害と診断された。
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