icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療33巻9号

2023年09月発行

文献概要

特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門 【各論Ⅱ】「こんな時どうすればいい?」Q&A—日常診療+αの場面より

Q1「発達障害かもしれない」と本人(成人)が精査希望したら?

著者: 浦谷光裕1 飯田順三2

所属機関: 1奈良県立医科大学 精神医学講座 2医療法人南風会万葉クリニック 子どものこころセンター絆

ページ範囲:P.1068 - P.1070

文献購入ページに移動
Case
患者:26歳、男性
家族歴:父親は頑固で、家庭でもほとんど会話がない。
現病歴:幼少期より1人で遊んでいることが多く、パズルを裏返しにしてつなげるという遊びに没頭していた。始語は2歳前と遅かった。学生時代は人の話を聞かず、よくマイペースだと言われた。友人とプライベートで遊ぶことは少なく、学業成績は国語がかなり苦手で、家庭科では手先の不器用さを指摘されたことがある。中堅の私立大学に合格し、入学後はレポート作成で苦労をすることはあったものの、教師の助けもあって何とか卒業できた。卒業後に就職するも仕事の段取りが悪く、上司に最初から説明されないと何をしてよいかわからず、説明されてもスムーズに行動に移せなかった。周囲からはきつく当たられ、職を転々としていた。職場で「あいつは発達障害じゃないか」と噂されていることを耳にし、インターネットで調べたところ自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の症状の多くが当てはまっていたことから、「自分は発達障害かもしれない」と考えて受診に至った。

参考文献

1)中村善文,他:成人発達障害専門外来における診断名および自己記入式評価尺度の検討.精神医学63(10) : 1555-1567, 2021.
2)岩坂英巳,他:思春期・青年期のAD/HDへの支援について.児童青年精神医学と近接領域47(3) : 257-263, 2006.
3)Lai MC, et al : Autism. Lancet 383(9920) : 896-910, 2014. PMID 24074734
4)Katzman MA, et al : Adult ADHD and comorbid disorders: clinical implications of dimensional approach. BMC Psychiatry 17(1) : 302, 2017. PMID 28830387

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?