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特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門 【各論Ⅱ】「こんな時どうすればいい?」Q&A—日常診療+αの場面より
Q1「発達障害かもしれない」と本人(成人)が精査希望したら?
著者: 浦谷光裕1 飯田順三2
所属機関: 1奈良県立医科大学 精神医学講座 2医療法人南風会万葉クリニック 子どものこころセンター絆
ページ範囲:P.1068 - P.1070
文献購入ページに移動患者:26歳、男性
家族歴:父親は頑固で、家庭でもほとんど会話がない。
現病歴:幼少期より1人で遊んでいることが多く、パズルを裏返しにしてつなげるという遊びに没頭していた。始語は2歳前と遅かった。学生時代は人の話を聞かず、よくマイペースだと言われた。友人とプライベートで遊ぶことは少なく、学業成績は国語がかなり苦手で、家庭科では手先の不器用さを指摘されたことがある。中堅の私立大学に合格し、入学後はレポート作成で苦労をすることはあったものの、教師の助けもあって何とか卒業できた。卒業後に就職するも仕事の段取りが悪く、上司に最初から説明されないと何をしてよいかわからず、説明されてもスムーズに行動に移せなかった。周囲からはきつく当たられ、職を転々としていた。職場で「あいつは発達障害じゃないか」と噂されていることを耳にし、インターネットで調べたところ自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の症状の多くが当てはまっていたことから、「自分は発達障害かもしれない」と考えて受診に至った。
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