文献詳細
文献概要
特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門 【各論Ⅱ】「こんな時どうすればいい?」Q&A—日常診療+αの場面より
Q3「カサンドラ症候群なんです」と相談されたら?
著者: 宮尾益知1
所属機関: 1どんぐり発達クリニック
ページ範囲:P.1074 - P.1076
文献購入ページに移動Case
患者:37歳、女性。夫(会社員)と息子と3人暮らし。
現病歴:めまいを主訴に、プライマリ・ケア外来を受診した。一連の診察および検査によって器質的異常は認められず、家族関係などを尋ねてみたところ、次のような相談を受けた。
「実は、夫のことで悩んでいます。夫に気持ちが伝わらず、いきなり『おまえが悪い』と怒鳴られたりします。真面目で仕事熱心なタイプですが、帰宅すると自室にこもって自分の好きな物に囲まれて過ごすことが多いのです。家では、夫とほとんど口をききません。子育てには協力するどころか、すべてのことに反対します。そのうえ、私の実家と私を攻撃的に語ることも多いのです。
離婚したいとも思いますが、子どもがまだ小さいので本当はしたくありません。でも、毎日『おまえには価値がない』と夫から見下される今の生活に疲れ果ててしまったのです。子どもが生まれてから、夫との関係が難しくなりました。父親として子に接することに全く関心がなく、むしろ子どもを憎んでいるような気さえします…」4)
患者:37歳、女性。夫(会社員)と息子と3人暮らし。
現病歴:めまいを主訴に、プライマリ・ケア外来を受診した。一連の診察および検査によって器質的異常は認められず、家族関係などを尋ねてみたところ、次のような相談を受けた。
「実は、夫のことで悩んでいます。夫に気持ちが伝わらず、いきなり『おまえが悪い』と怒鳴られたりします。真面目で仕事熱心なタイプですが、帰宅すると自室にこもって自分の好きな物に囲まれて過ごすことが多いのです。家では、夫とほとんど口をききません。子育てには協力するどころか、すべてのことに反対します。そのうえ、私の実家と私を攻撃的に語ることも多いのです。
離婚したいとも思いますが、子どもがまだ小さいので本当はしたくありません。でも、毎日『おまえには価値がない』と夫から見下される今の生活に疲れ果ててしまったのです。子どもが生まれてから、夫との関係が難しくなりました。父親として子に接することに全く関心がなく、むしろ子どもを憎んでいるような気さえします…」4)
参考文献
1)Aston MC, 2003/宮尾益知(監修),テーラー幸恵(監訳):アスペルガーと愛—ASのパートナーと幸せに生きていくために.東京書籍,2015.
2)Simons HF, et al: Affective deprivation disorder: does it constitute a relational disorder? 2009. https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.659.3582&rep=rep1&type=pdf(2023年8月7日現在)
3)Aston MC : The Other Half of Asperger Syndrome (Autism Spectrum Disorder) : A Guide to Living in an Intimate Relationship with a Partner who is on the Autism Spectrum, 2nd ed. Jessica Kingsley Publishers, London, 2014.
4)宮尾益知,他:夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本,増補改訂版.河出書房新社,2022.〈p.1114〉
5)野波ツナ(著),宮尾益知(監修):旦那(アキラ)さんはアスペルガー—しあわせのさがし方.コスミック出版,2012.
6)ちくわ(著),宮尾益知(監修):好きになった人はアスペルガーでした.KADOKAWA,2022.
掲載誌情報