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雑誌目次

雑誌文献

総合診療34巻1号

2024年01月発行

雑誌目次

特集 —“体験型”臨床クイズで習得する!—フィジカル診断エクセレンス

著者: 徳田安春 ,   鈴木智晴

ページ範囲:P.20 - P.21

 「診断エクセレンス」とは、一定の時空間の中で正確な診断をタイムリーに行うことを意味する。そして「フィジカル(身体診察)」は、迅速・簡便・低侵襲・低コストであり、診断エクセレンスのための必須スキルである。また、全人的なヒーリングにもつながるタッチとしての役割もある。しかし、既存の教科書を読むだけでは、「エクセレンス」をもたらすフィジカルのノウハウを習得することは困難である。
 そこで考えたのが、メタバース的な“体験型”の臨床クイズである。各執筆者がフィジカルで「診断エクセレンス」を実体験したケースを、読者がアバター的に追体験し、ゲーミング的世界のなかでフィジカルについての重要な決断を行い、そのフィードバックを直ちに得られる構成とした。脳内辺縁系に深く突き刺さる感動を味わうことで、フィジカルによる診断エクセレンスを再現できる実力をつけてもらいたい。

—❶呼吸器—急性呼吸不全

著者: 名嘉祐貴 ,   平島修

ページ範囲:P.22 - P.24

臓器システムと疾患の背景
急性呼吸不全は緊急度が高く、満足にフィジカルをとりづらいと思われるかもしれない。しかし「緊急度」の判断にこそ、視診や触診などの簡便な身体診察が有用であり、さらには「診断」につながる鍵となる。早速、ケースを追体験してみよう。

—❷循環器—呼吸困難—多職種でフィジカルを共有する

著者: 伊藤大樹

ページ範囲:P.25 - P.29

臓器システムと疾患の背景
呼吸困難は、日常診療でよく遭遇する症状である。「呼吸困難」は主観的自覚症状であり、「呼吸不全」は低酸素血症(PaO2≦60mmHg)を伴う病態を意味する。鑑別診断は、急性か慢性かで異なるが、基本は「ABCD(airway、breathing、circulation、dysfunction of other systems)アプローチ」でよいだろう。本稿では、高齢化と新型コロナウイルス感染症流行に伴い利用が増えている「在宅医療」や「オンライン診療」における呼吸困難へのアプローチを考えてみたい。早速、ケースを追体験してみよう。

—❸腹部—急性腹症

著者: 鈴木智晴

ページ範囲:P.30 - P.32

臓器システムと疾患の背景
腹痛の診療では、CTスキャンで見るがごとく、「痛む部位に何の臓器があるのか?」を想像しながらフィジカルをとるとよい。また、腹痛は“腹腔臓器以外”の問題で出現することもあり、これが腹痛の診療を難しくしている。早速、ケースを追体験してみよう。

—❹脳神経疾患—「孫が胃腸炎なんです」

著者: 矢吹拓

ページ範囲:P.34 - P.36

臓器システムと疾患の背景
中枢神経疾患の診断は、病歴や神経学的所見から疑い、検査結果や画像診断を追加することで包括的に行われる。中枢神経機能は非常に多岐にわたり、中枢神経疾患によって引き起こされる症状は、私たちが中枢神経疾患を想起しやすい典型的なものから、非特異的な全身症状までさまざまである。非特異的な症状から中枢神経疾患を疑うことは時に困難なことがあり、診断までに時間を要することも多い。早速、ケースを追体験してみよう。

—❺内分泌・代謝—10年以上続く原因不明の全身痛

著者: 髙瀬了輔 ,   片岡仁美 ,   大塚文男

ページ範囲:P.37 - P.40

臓器システムと疾患の背景
関節痛・筋肉痛は遭遇する頻度の高い症状であり、慢性的に続く場合、一般に「整形外科疾患」や「リウマチ・膠原病」を想起することが多い。しかし「内分泌・代謝疾患」が原因となることもあり、先天性・遺伝性疾患の成人での発症・診断例もあるため、診断・治療に難渋する場合は、稀な疾患も含めて広く鑑別をリストアップしよう。また、見落としがちな「体格」や「姿勢」の評価が診断のヒントとなることがある。早速、ケースを追体験してみよう。

—❻腎疾患—急性腎障害の原因は…?

著者: 須藤航

ページ範囲:P.42 - P.44

臓器システムと疾患の背景
腎機能障害や腎疾患は、血清クレアチニン値などの血液生化学検査や尿検査が発見の契機となることが多い。しかし、その原因を特定するうえでは身体所見が鍵となる症例も珍しくない。早速、ケースを追体験してみよう。

—❼整形内科—「痛みがどこに行ってもよくならないんです!」

著者: 和足孝之

ページ範囲:P.46 - P.49

臓器システムと疾患の背景
神経・筋骨格系疾患は、何と言っても「痛み」の病歴と病態に的を絞った丁寧な問診・身体診察が重要である。痛みは、患者の訴えから“1本の短い映画”を再構築できるように聴いていくことができれば、診断精度を上げることができる。早速、ケースを追体験してみよう。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年1月31日まで)。

—❽リウマチ・膠原病—関節炎

著者: 山本恭資 ,   金城光代

ページ範囲:P.50 - P.53

臓器システムと疾患の背景
関節炎の診療では、「関節外症状」から診断のヒントを得ることが多々ある。なかでも見落としてはいけない身体所見があり、その所見を狙ってとりにいくことが重要である。早速、ケースを追体験してみよう。

—❾婦人科疾患—夜間頻尿・排尿困難

著者: 嘉陽真美

ページ範囲:P.54 - P.56

臓器システムと疾患の背景
成人女性における頻尿・夜間頻尿・排尿困難といったプライマリ・ケア医が日常的に遭遇する「下部尿路症状」においては、問診で鑑別診断を絞り込み、身体診察と検査で診断に迫っていく。診察室でどこまで所見をとれるか、早速ケースを追体験してみよう。

—❿小児—歩行の異常

著者: 利根川尚也

ページ範囲:P.57 - P.60

臓器システムと疾患の背景
子どもの診察では、成人とは違い、いつも十分な協力が得られるとは限らない。診察部位に疼痛があったり、コミュニケーションの障害があれば、なおさらである。正確に診断するためには、子どもになるべく身体的・心理的ストレスをかけず、多くの情報を引き出すような診察が望まれる。早速、ケースを追体験してみよう。

—⓫悪性腫瘍—高LDH血症

著者: 服部聡 ,   萩原將太郎

ページ範囲:P.62 - P.65

臓器システムと疾患の背景
高LDH血症では、重篤な疾患が隠れていることが多い。特定の臓器に絞り込む前に全身をくまなく診察し、見落としがないように慎重に身体診察を行う必要がある。早速、ケースを追体験してみよう。

—⓬全身疾患の皮膚所見—手指の腫脹・疼痛

著者: 鵜山保典 ,   山中克郎

ページ範囲:P.66 - P.70

臓器システムと疾患の背景
皮膚病変は、皮膚科だけの問題ではない。感染症や自己免疫疾患、悪性リンパ腫、内臓悪性腫瘍、内分泌疾患、アレルギーなど、皮膚に所見がみられる内科疾患は多い。「皮膚は専門外だから」と思考を早期閉鎖せず、自分でも診る癖をつけたい。早速、ケースを追体験してみよう。

【コラム】「在宅医療」におけるフィジカル診断

著者: 藤沼康樹

ページ範囲:P.71 - P.71

 在宅医療の現場は、血液検査以外は実施可能な検査が限られる(とは言え血液検査も、ほとんどが外注となる)。したがって、訪問診療で患者のさまざまな症状を診断するに際は、病歴と身体所見に頼らざるをえない。むろん、近年はポータブルエコーが普及し、胸部や腹部、そして軟部組織の在宅での超音波診断がある程度可能になったことは画期的である。しかし大多数の症状対応には、今も昔も病歴聴取と身体診察が主力である。そこで本稿では、訪問診療において“フィジカル”でかなり稀な疾患の診断に至ったCaseを、2例紹介してみたい。

今月の「めざせ! 総合診療専門医!」問題

ページ範囲:P.72 - P.72

本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

Editorial

「Art and Science」としての「History and Physical」

著者: 徳田安春 ,   鈴木智晴

ページ範囲:P.19 - P.19

オスラー先生は「医学はScienceに基づくArtである」と述べた。「Art and Science」という言葉は、それ自体が1つの単語でもある。特にこれを反映している臨床スキルは「History and Physical」だ。これも1つの単語である。実際、病歴と身体所見は不可分だ。腹部膨満という病歴は、視診でも腹部膨満という身体所見になる。本特集では、診断に役立った「Physical」のリアルストーリーを集めた。全て貴重なリアルエピソードだ。
 Physicalは、検査としての側面もあるが、純粋な検査ではない。身体所見の感度・特異度などの検査特性を比較して、それが低いからといって「この身体所見には意味がない」などと言うのはやめたほうがよい。たとえば、左の肩痛を自覚する「心筋梗塞」のケースは稀にある。これを感度・特異度で示すと、両方ともかなり低いだろう。この病歴を感度・特異度で表現することはない。むしろ、このような「放散痛」は診断エラーを防ぐための注意すべき症候だ。急性虫垂炎における「腸腰筋徴候」と「閉鎖筋徴候」の検査特性も高くない。しかし、「急性虫垂炎」を疑うケースにおいてMcBurney点の圧痛陰性のケースであれば、必須の手技である。「盲腸後部や骨盤内部に存在する虫垂炎」というサブグループでの診断価値は高いのだ。「ある症候が陽性となるのはどんなサブ病態か」を解剖と生理で考えるべきだ。

ゲストライブ〜Improvisation〜・25【新春特別座談会】

次世代の“日本版ホスピタリスト”の役割

著者: 小坂鎮太郎 ,   徳田安春 ,   日下伸明

ページ範囲:P.1 - P.10

 新型コロナ対応の反省には、政策のエビデンス不足やかかりつけ医不在の問題だけでなく、容易に逼迫した都市部の病院医療体制もある。また一方で、地域では安定した医療提供体制の構築において、医師不足の問題が常につきまとう。本座談会では、「病院」の医療レジリエンスと「地域医療」の今後について、“日本版ホスピタリスト”がその処方箋になりうるのか、どのように育成していくべきなのか、実際の取り組みを踏まえて展望していただいた。(編集室)

What's your diagnosis?[253]

黒い限定ベンツ

著者: 井岡修 ,   明保洋之

ページ範囲:P.14 - P.17

病歴
患者:40歳、女性
主訴:呼吸困難
現病歴:22歳時に全身性エリテマトーデス(SLE、ループス腎炎class Ⅱ)を発症した。37歳時に腎炎class Ⅲで再燃後、寛解導入・維持されていた。受診3週間前に37℃台の発熱、咳嗽、鼻汁、咽頭痛、喀痰、倦怠感、関節痛が出現した。また、胸痛(ズキズキとした痛み、場所はさまざま、放散なし、numerical rating scale 2/10、数分間持続、仰臥位と咳嗽で誘発、就眠可能)、腹部膨満感、労作時呼吸困難を伴った。受診1週間前には階段昇降の途中で休憩を要した。その後、上気道症状と関節痛は消失したが、腹部膨満感と労作時呼吸困難が軽快しないため当院外来受診した。
ROS(-):頭痛、光線過敏、Raynaud現象、下痢、腹痛、浮腫
既往歴:高用量ステロイド内服中の抑鬱、子宮筋腫
内服薬:プレドニゾロン(PSL)1mg、ヒドロキシクロロキン(HCQ)200mg、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)1,000mg、エナラプリルマイレン酸塩5mg、酪酸菌配合剤錠3錠、アセトアミノフェン4,000mg
アレルギー歴:ST合剤、アモキシシリン(AMPC)/クラブラン酸カリウム(CVA)
喫煙歴・飲酒歴:なし

対談|医のアートを求めて・6

医療×音楽—「好き」を追求して生きる 歌手として、そして医師として(前編)

著者: アン・サリー ,   平島修

ページ範囲:P.75 - P.81

私が医学生だった頃、CDショップの試聴コーナーで透き通るような歌声に出合った。その時から魅了されているのだが、以来、私に音楽の素晴らしさを教えてくれているのが、シンガーソングライターであり医師であるアン・サリーさんだ。
研修医時代に音楽デビューを果たしたアンさんのその姿は、「医師は堅い仕事」というイメージに風穴を開けてくれた。以来、私の人生にも大きな影響を与え続けてくれる存在である。
このたびは歌手として医師として、今を生きていらっしゃるアン・サリーさんに、ご自身のこれまでの人生について、そして「音楽のチカラ」についてお話を伺った。
長時間にわたった対談を2回に分けて、まずは「前編」をお届けする。(平島修)

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・84

イライラそわそわ変な患者さん…それって不安が強いだけ?

著者: 江川愛祐美 ,   上原圭太 ,   知花なおみ ,   徳田安春 ,   仲里信彦 ,   鈴木智晴 ,   佐藤直行

ページ範囲:P.83 - P.87

CASE
患者:40代、男性。
主訴:嘔気、落ち着かない。
現病歴:X-10日に発熱と嘔気のため近医を受診し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)PCR検査陽性にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された。X-4日から嘔気・嘔吐が持続したためX-2日に前医を受診し、制吐薬などの点滴を施行された。その際、寝ても立ってもいられない、身の置き場がないような症状を自覚したため、途中で点滴を中止してもらった。嘔気に対してメトクロプラミド処方で帰宅となったが、その後も嘔気と落ち着かない症状が持続するため、X-1日に当院救急外来を受診した。嘔気精査のため頭部CT、血液検査が予定されたが、じっとしていられず検査は中止となった。末梢性めまいの可能性が疑われ、メトクロプラミドと炭酸水素ナトリウム(メイロン®)を静注し、メトクロプラミド、ベタヒスチンメシル酸塩(メリスロン®)が処方され帰宅となった。X日の朝、嘔気に対してメトクロプラミドを内服したが、落ち着かない症状が増悪したため、再び当院救急外来を受診した。
既往歴:慢性頭痛。
内服薬:常用薬なし。X-1日前に当院から処方:メトクロプラミド5mg(吐き気時に頓用)、ベタヒスチンメシル酸塩6mg 1錠1日3回。
アレルギー:なし。
生活歴:喫煙:20〜30歳まで20本/日、現在喫煙なし、飲酒:機会飲酒。
職業:空港勤務。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!医学と日常の狭間で|患者さんからの素朴な質問にどう答える?・46

眉毛や睫毛が伸びる

著者: 上田剛士

ページ範囲:P.88 - P.91

患者さんからのふとした質問に答えられないことはないでしょうか? 素朴な疑問ほど回答が難しいものはありませんが、新たな気づきをもたらす良問も多いのではないでしょうか? 本連載では素朴な疑問に、文献的根拠を提示しながらお答えします!

ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学・10

—ご遺体の検査❶—後頭窩穿刺

著者: 森田沙斗武

ページ範囲:P.92 - P.95

Case
患者:58歳、女性。母親と娘の3人暮らし。
既往歴:やや肥満体で高血圧症・脂質異常症を認め、かかりつけ医に通院中。5年前、頭痛時に撮影したMRIで脳動脈瘤を指摘されるも直径2.5mmほどであり、当院にて年に1度の画像検査を行っていた。
現病歴:某日、体調不良の訴えなどなく、いつもどおり生活していた。20時頃に夕食をとり、23時に自室で就寝した。家族も1時頃までにそれぞれ自室で就寝した。翌朝7時頃、患者が起きてこないのを不審に思った娘が寝室を見にいくと、ベッド横の床上に倒れているのを発見。7時10分に119番通報、18分に救急隊が到着し心肺停止を確認、45分に当院に搬送され心肺蘇生処置を行うも、すでに下顎硬直および死斑の発現を認め、55分に蘇生処置を中断、8時3分に死亡宣告を行った。
 改めてご遺体を診察したところ、明らかな外傷所見を認めず、死斑は中等度に発現し圧迫により容易に消褪。硬直は下顎に軽度認めるものの、その他の関節の硬直は判然としなかった。顔面はうっ血し、眼瞼結膜に少数ながら溢血点を認め、口唇および四肢にチアノーゼ発現を認めた。生前の経過とご遺体に確認できた“急死の3徴候”から「急性死」と診断でき、脳動脈瘤の既往より「クモ膜下出血」が疑われたが断定できなかった。

【エッセイ】アスクレピオスの杖—想い出の診療録・45

凍りついたSLE症例

著者: 北野夕佳

ページ範囲:P.108 - P.109

本連載は、毎月替わる著者が、これまでの診療で心に残る患者さんとの出会いや、人生を変えた出来事を、エッセイにまとめてお届けします。

臨床医のためのライフハック│限りある時間を有効に使う仕事術・10

—臨床研究❷—忙しい臨床医の「論文」執筆術

著者: 中島啓

ページ範囲:P.110 - P.113

時間がない! 臨床医の仕事は診療だけにあらず、事務、教育、自己学習、研究、学会発表、情報発信、所属組織の運営などなど、尽きることはありません。もちろんプライベートの生活もあり、「時間不足」は臨床医の永遠の課題です。では、一度きりの“医師人生”の限られた時間を、どう有効に使うのか? 筆者が培ってきた「ライフハック(仕事術)」のすべてを、余すところなく開陳します。

臨床教育お悩み相談室|どうする!?サロン・12

“difficult teaching encounters”にも「SOAP」を使ってキレイに解決!

著者: 佐田竜一 ,   木村武司 ,   長野広之

ページ範囲:P.114 - P.118

今月のお悩み
卒後20年ほどの指導医です。外科系志望の研修医が、モチベーションをもてないのか、内科での日々の研修で手を抜く場面が目立ちます。ご高齢の患者さんに友達口調(いわゆるタメ口)になったり、ひどい時は担当患者さんのカルテを1週間以上記載していないこともありました…。その研修医を直接指導している上級医に報告したのですが、「いや、きちんと研修していますよ」と言うばかりで、研修医の行動にも改善が見られません。こうした研修医に対して、どう接すればよいでしょうか?
[ペンネーム:仕組み化0男]

投稿 GM Clinical Pictures

浮腫の所見から鑑別に有用と思われる検査は何か?

著者: 松本知己 ,   市村尚之 ,   玉野井徹彦

ページ範囲:P.97 - P.98

CASE
患者:90歳、男性。
主訴:転倒・両下腿浮腫。
現病歴:1年前から両下腿浮腫が出現したが、放置していた。転倒を契機に体動困難となり入院。
両下腿浮腫について相談があった。
既往歴:心筋梗塞、糖尿病、末梢動脈疾患。
生活歴:妻・娘と3人暮らし。
身体所見:Japan Coma Scale(JCS)Ⅰ。体温36.6℃、血圧134/69mmHg、脈拍数60回/分。
両下腿・足背に圧痕を残さない浮腫あり。皮膚は乾燥し角質増生を伴う(図1)。
血液検査:BNP上昇なし。腎機能正常。低Alb血症なし。D-dimer上昇なし。

#総合診療

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.27 - P.27

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.33 - P.33

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.41 - P.41

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.45 - P.45

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.53 - P.53

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.63 - P.63

#今月の特集関連本

ページ範囲:P.99 - P.99

#医学書院の新刊

ページ範囲:P.100 - P.101

#参加者募集

ページ範囲:P.101 - P.101

#書評:皮膚科医の病気をめぐる冒険—医療を超えたクロストークで辿り着いた新しい自分

著者: 市原真

ページ範囲:P.103 - P.103

 「出るマトは撃たれる」というフレーズをご存知だろうか。
 クレー射撃をご覧になったことがある方ならイメージしやすいかもしれない。

#書評:内科レジデントの鉄則 第4版

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.105 - P.105

 内科系の救急や夜間・休日の病棟患者ケアをレジデント主体で対応してきた歴史をもつ聖路加国際病院内科の「臨床の鉄則」本の改訂が出た。当直を担う内科系医師が、ここまでやれるとよいことがわかる本だ。今版もチーフレジデント経験者が主体となって執筆されており、屋根瓦式のコアメンバーによる最新のクリニカルパールが満載である。箇条書きで重要点が整理されており、読みやすい。研修医や専攻医などのいわゆる内科レジデントはもちろんのこと、内科実習に参加する医学生や内科病棟ケアに関係する医療者に幅広くお薦めできる。
 「病棟当直編」では、重症患者の見逃しを避けるための鉄則を示し、安心して任せられる当直医となれるような内容となっている。ショックについては、発熱や全身状態に注意しつつ全身の所見をとることが重要であり、血圧の絶対値ではなく「循環」が維持されているかの意識をもつことが必要とされている。「臨床的なショックとは重要臓器循環不全であること」を強調してくれている。重要かつコモンな症状について、病歴聴取・身体診察・診断・検査・治療の重要点が記載されており、酸素飽和度低下や意識障害、不安定な不整脈、胸痛、腹痛、頭痛、悪心・嘔吐、血糖異常、不眠、せん妄、そしてⅠ型アレルギーなどのさまざまな病態をカバーしている。

#書評:神経症状の診かた・考えかた—General Neurologyのすすめ 第3版

著者: 宮岡等

ページ範囲:P.106 - P.106

 評者は精神科医である。精神科医になって3〜4年目の頃、今から約40年も前になるが、身体疾患に起因する意識障害であるせん妄、認知症や統合失調症治療薬による錐体外路症状、心理面の原因で身体症状を呈する転換性障害などに出合って、精神科医もある程度の「神経内科」(現在の脳神経内科)の知識が不可欠であると考えた。当時の私のバイブルは故・本多虔夫先生の単著『神経病へのアプローチ』(医学書院)であった。所属教室の主任教授に頼み、週1回程度であったが、しばらくの間、本多先生のもとで研修を受け、臨床家はこうあるべきという姿勢も学んだ。
 それ以後、自分が精神科教員の立場となり、わかりやすいテキストを探しているなか、見つけたのが本書である。著者は初版の序で「遺伝学や生化学などのいわゆる高度医療の側面には触れていない。それらを高速道路建設にたとえると、本書は街中の交通渋滞に対処するものである」、第3版の序では「『街中の交通渋滞対処』が『高速道路建設』に役立つ」、「予断や理屈に捉われないで、患者の症状を観察し、自ら一歩深く考えることが今なお臨床医に求められていると思う」と強調しており、評者が教えられてきた医療観を再確認させられた。

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目次

ページ範囲:P.12 - P.13

読者アンケート

ページ範囲:P.107 - P.107

『総合診療』編集方針

ページ範囲:P.119 - P.119

 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。
2018年1月  『総合診療』編集委員会

『総合診療』バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.120 - P.121

お得な年間購読のご案内

ページ範囲:P.121 - P.122

次号予告

ページ範囲:P.123 - P.124

基本情報

総合診療

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 2188-806X

印刷版ISSN 2188-8051

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バックナンバー

33巻12号(2023年12月発行)

特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.

33巻11号(2023年11月発行)

特集 —続・総合診療外来に“実装”したい—最新エビデンスMy Best 3

33巻10号(2023年10月発行)

特集 ○×クイズ110問!日常診療アップグレード—Choosing WiselyとHigh Value Careを学ぼう

33巻9号(2023年9月発行)

特集 ジェネラリストのための「発達障害(神経発達症)」入門

33巻8号(2023年8月発行)

特集 都市のプライマリ・ケア—「見えにくい」を「見えやすく」

33巻7号(2023年7月発行)

特集 “消去法”で考え直す「抗菌薬選択」のセオリー—広域に考え、狭域に始める

33巻6号(2023年6月発行)

特集 知っておくべき!モノクロな薬たち(注:モノクローナル抗体の話ですよ〜)

33巻5号(2023年5月発行)

特集 —疾患別“イルネススクリプト”で学ぶ—「腹痛診療」を磨き上げる22症例

33巻4号(2023年4月発行)

特集 救急対応ドリル—外来から在宅までの60問!

33巻3号(2023年3月発行)

特集 —自信がもてるようになる!—エビデンスに基づく「糖尿病診療」大全—新薬からトピックスまで

33巻2号(2023年2月発行)

特集 しびれQ&A—ビビッとシビれるクリニカルパール付き!

33巻1号(2023年1月発行)

特集 COVID-19パンデミック 振り返りと将来への備え

32巻12号(2022年12月発行)

特集 レクチャーの達人—とっておきの生ライブ付き!

32巻11号(2022年11月発行)

特集 不定愁訴にしない“MUS”診療—病態からマネジメントまで

32巻10号(2022年10月発行)

特集 日常診療に潜む「処方カスケード」—その症状、薬のせいではないですか?

32巻9号(2022年9月発行)

特集 総合診療・地域医療スキルアップドリル—こっそり学べる“特講ビデオ”つき!

32巻8号(2022年8月発行)

特集 こんなところも!“ちょいあて”エコー—POCUSお役立ちTips!

32巻7号(2022年7月発行)

特集 —どうせやせない!? やせなきゃいけない??苦手克服!—「肥満」との向き合い方講座

32巻6号(2022年6月発行)

特集 総合診療外来に“実装”したい最新エビデンス—My Best 3

32巻5号(2022年5月発行)

特集 「診断エラー」を科学する!—セッティング別 陥りやすい疾患・状況

32巻4号(2022年4月発行)

特集 えっ、これも!? 知っておきたい! 意外なアレルギー疾患

32巻3号(2022年3月発行)

特集 AI時代の医師のクリニカル・スキル—君は生き延びることができるか?

32巻2号(2022年2月発行)

特集 —withコロナ—かぜ診療の心得アップデート

32巻1号(2022年1月発行)

特集 実地医家が楽しく学ぶ 「熱」「炎症」、そして「免疫」—街場の免疫学・炎症学

31巻12号(2021年12月発行)

特集 “血が出た!”ときのリアル・アプローチ—そんな判断しちゃダメよ!

31巻11号(2021年11月発行)

特集 Q&Aで深める「むくみ診断」—正攻法も!一発診断も!外来も!病棟も!

31巻10号(2021年10月発行)

特集 医師の働き方改革—システムとマインドセットを変えよう!

31巻9号(2021年9月発行)

特集 「検査」のニューノーマル2021—この検査はもう古い? あの新検査はやるべき?

31巻8号(2021年8月発行)

特集 メンタルヘルス時代の総合診療外来—精神科医にぶっちゃけ相談してみました。

31巻7号(2021年7月発行)

特集 新時代の「在宅医療」—先進的プラクティスと最新テクノロジー

31巻6号(2021年6月発行)

特集 この診断で決まり!High Yieldな症候たち—見逃すな!キラリと光るその病歴&所見

31巻5号(2021年5月発行)

特集 臨床医のための 進化するアウトプット—学術論文からオンライン勉強会、SNSまで

31巻4号(2021年4月発行)

特集 消化器診療“虎の巻”—あなたの切実なギモンにズバリ答えます!

31巻3号(2021年3月発行)

特集 ライフステージでみる女性診療at a glance!—よくあるプロブレムを網羅しピンポイントで答えます。

31巻2号(2021年2月発行)

特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで

31巻1号(2021年1月発行)

特別増大特集 新型コロナウイルス・パンデミック—今こそ知っておきたいこと、そして考えるべき未来

30巻12号(2020年12月発行)

特集 “ヤブ化”を防ぐ!—外来診療 基本の(き) Part 2

30巻11号(2020年11月発行)

特集 診断に役立つ! 教育で使える! フィジカル・エポニム!—身体所見に名を残すレジェンドたちの技と思考

30巻10号(2020年10月発行)

特集 —ポリファーマシーを回避する—エビデンスに基づく非薬物療法のススメ

30巻9号(2020年9月発行)

特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【感染症・内分泌・整形外科 編】

30巻8号(2020年8月発行)

特集 マイナーエマージェンシー門外放出—知っておくと役立つ! テクニック集

30巻7号(2020年7月発行)

特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック

30巻6号(2020年6月発行)

特集 下降期慢性疾患患者の“具合”をよくする—ジェネラリストだからできること!

30巻5号(2020年5月発行)

特集 誌上Journal Club—私を変えた激アツ論文

30巻4号(2020年4月発行)

特集 大便強ドリル—便秘・下痢・腹痛・消化器疾患に強くなる41問!

30巻3号(2020年3月発行)

特集 これではアカンで!こどもの診療—ハマりがちな11のピットフォール

30巻2号(2020年2月発行)

特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【循環器・消化器・神経疾患編】

30巻1号(2020年1月発行)

特集 総合診療医の“若手ロールモデル”を紹介します!—私たちはどう生きるか

27巻12号(2017年12月発行)

特集 小児診療“苦手”克服!!—劇的Before & After

27巻11号(2017年11月発行)

特集 今そこにある、ファミリー・バイオレンス|Violence and Health

27巻10号(2017年10月発行)

特集 めまいがするんです!─特別付録Web動画付

27巻9号(2017年9月発行)

特集 うつより多い「不安」の診かた—患者も医師も安らぎたい

27巻8号(2017年8月発行)

特集 見逃しやすい内分泌疾患─このキーワード、この所見で診断する!

27巻7号(2017年7月発行)

特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 3 カリスマ編

27巻6号(2017年6月発行)

特集 「地域を診る医者」最強の養成法!

27巻5号(2017年5月発行)

特集 コミュニケーションを処方する—ユマニチュードもオープンダイアローグも入ってます!

27巻4号(2017年4月発行)

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27巻3号(2017年3月発行)

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27巻2号(2017年2月発行)

特集 The総合診療ベーシックス—白熱!「総合診療フェスin OKINAWA」ライブ・レクチャー! 一挙公開 フィジカル動画付!

27巻1号(2017年1月発行)

特集 総合診療の“夜明け”—キーマンが語り尽くした「来し方、行く末」

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