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文献詳細

雑誌文献

総合診療34巻1号

2024年01月発行

文献概要

Editorial

「Art and Science」としての「History and Physical」

著者: 徳田安春1 鈴木智晴2

所属機関: 1臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄 2浦添総合病院 病院総合内科

ページ範囲:P.19 - P.19

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オスラー先生は「医学はScienceに基づくArtである」と述べた。「Art and Science」という言葉は、それ自体が1つの単語でもある。特にこれを反映している臨床スキルは「History and Physical」だ。これも1つの単語である。実際、病歴と身体所見は不可分だ。腹部膨満という病歴は、視診でも腹部膨満という身体所見になる。本特集では、診断に役立った「Physical」のリアルストーリーを集めた。全て貴重なリアルエピソードだ。
 Physicalは、検査としての側面もあるが、純粋な検査ではない。身体所見の感度・特異度などの検査特性を比較して、それが低いからといって「この身体所見には意味がない」などと言うのはやめたほうがよい。たとえば、左の肩痛を自覚する「心筋梗塞」のケースは稀にある。これを感度・特異度で示すと、両方ともかなり低いだろう。この病歴を感度・特異度で表現することはない。むしろ、このような「放散痛」は診断エラーを防ぐための注意すべき症候だ。急性虫垂炎における「腸腰筋徴候」と「閉鎖筋徴候」の検査特性も高くない。しかし、「急性虫垂炎」を疑うケースにおいてMcBurney点の圧痛陰性のケースであれば、必須の手技である。「盲腸後部や骨盤内部に存在する虫垂炎」というサブグループでの診断価値は高いのだ。「ある症候が陽性となるのはどんなサブ病態か」を解剖と生理で考えるべきだ。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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