総合診療34巻2号

2024年02月発行

特集 日常診療で出合う筋骨格疾患—脳神経内科と整形外科からのアプローチ 【頸部〜上肢の病態】

❻神経痛性筋萎縮症

著者： 深澤真弓¹² 加藤匡裕¹ 岩部昌平¹

所属機関： ¹済生会 宇都宮病院 整形外科 ²医療法人社団 深澤クリニック 整形外科

ページ範囲：P.164 - P.166

Point
●神経痛性筋萎縮症は、末梢神経に発症する（多発性）単ニューロパチーである。
●突然の強い痛みで発症することが多く（肩〜上肢が多い）、それに続く罹患神経支配筋の筋力低下や筋萎縮を認める。
●複数の末梢神経が罹患することも多く、鑑別診断が重要となるが、麻痺筋の分布が髄節支配とは一致しないのが脊椎疾患と見分けるポイントである。

参考文献

1）van Alfen N : Clinical and pathophysiological concepts of neuralgic amyotrophy. Nat Rev Neurol 7（6） : 315-322, 2011. PMID 21556032 〈特発性と遺伝性の両方から、NAの病態生理を考察しているNAの総説〉

2）Firmino GF, et al : Neuralgic amyotrophy ; its importance in orthopedics practice. Spine Surg Relat Res 5（4） : 232-237, 2021. PMID 34435146 〈NAの疫学、病態生理学、鑑別診断、予後の最新のレビュー〉

3）van Eijk JJJ, et al : Clinical phenotype and outcome of hepatitis E virus-associated neuralgic amyotrophy. Neurology 89（9） : 909-917, 2017. PMID 28768846 〈HEV-NA患者の特徴を調査。NA患者はHEV検査を受けるべきとする〉

4）Gstoettner C, et al : Neuralgic amyotrophy ; a paradigm shift in diagnosis and treatment. J Neurol Neurosurg Psychiatry 91（8） : 879-888, 2020. PMID 32487526 〈NAの画像診断技術の発展により、手術による治療成績が向上した〉

5）IJspeert J, et al : Neuralgic amyotrophy. Curr Opin Neurol 34（5） : 605-612, 2021. PMID 34054111 〈NAは早期診断、投薬・手術治療、リハビリテーションが重要である〉

6）園生雅弘：MMT・針筋電図ガイドブック．中外医学社，2018．

7）Sonoo M : Recent advances in neuroanatomy ; the myotome update. J Neurol Neurosurg Psychiatry 94（8） : 643-648, 2023. PMID 36653172 〈過去の筋節研究、自験例を詳細にレビューした、信頼度の高い筋節表〉

8）安藤哲朗：腕神経叢障害．神田 隆（編）：末梢神経障害．pp.106-108，医学書院，2022．