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文献詳細

雑誌文献

総合診療34巻4号

2024年04月発行

文献概要

投稿 GM Clinical Pictures

ますます増悪する意識障害

著者: 秋山由樹1 若林崇雄1 古川直幸1 石橋幹之介1 須藤大智1 渡邉智之1

所属機関: 1JCHO札幌北辰病院 総合診療科

ページ範囲:P.469 - P.470

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CASE
患者:自閉症、知的障害のある、51歳、男性。
主訴:意識障害、発熱。
現病歴:搬送4日前に階段から転落して頭部を受傷した。搬送3日前に脳神経外科を受診して頭部CTを、搬送前日に頭部MRIを撮像したが、異常を認めなかった。搬送当日朝より38℃台の発熱とSpO2低下を認めたため、当院へ搬送された。
服薬・生活歴:内服薬なし。飲酒・喫煙歴なし。
 初診時バイタルサインにおいて、JCS(Japan Coma Scale)Ⅱ-30の意識障害とSpO2 96%(鼻カヌラ1L/分)の低酸素を認めた。また身体所見において、右下肺背側に吸気時のcoarse crackleを聴取した。胸部CTでは同部位に一致して浸潤影を認め、感染性肺炎と診断した。
 入院後、われわれはABPC/SBT(アンピシリン・スルバクタム)3g 1日3回投与を開始した。喀痰培養からは口腔内常在菌のみ検出され、起因菌の特定には至らなかった。炎症や低酸素は速やかに改善が得られたが、JCSⅢ-100の意識障害が遷延した。意識障害の鑑別に基づき腰椎穿刺を実施したが、異常は認められなかった。このため第6病日に頭部MRIを再検査した。頭部MRI画像の拡散強調画像を示す(図1)。

参考文献

1)鈴木重將,他:MRI拡散強調画像にて脳梁膨大部に可逆性高信号域を認めた成人3症例の検証.J Jpn Soc Neurol Emerg Crit Care 30(2) : 62-66, 2018.
2)中村晃久,他:Clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion (MERS)の1成人例.日内会誌102(12):3223-3226, 2013.
3)齋藤信夫,他:デング熱に合併した可逆性の脳梁膨大部病変を伴う軽症脳炎/脳症の1例.感染症誌89(4) : 465-469, 2015.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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