オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・88
発熱・皮疹でピンときても、診断はまだ難しい
著者:
又吉貴也
,
佐藤直行
,
徳田安春
,
仲里信彦
,
鈴木智晴
ページ範囲:P.573 - P.578
CASE
患者:68歳、男性。
主訴:発熱、関節痛、皮疹。
現病歴:入院3週間前に38℃台の発熱と咽頭痛を自覚し、近医を受診した。COVID-19の抗原検査は陰性で、対症療法で経過観察となった。咽頭痛は翌日には軽快したが、以降も時々はごく軽度に自覚していた。発熱については、昼37℃台で夕方から夜にかけては38℃台となるような熱型で持続していた。
入院10日前には、発熱に加えて動悸の自覚もあったため、再度近医を受診した。胸部X線写真と尿検査は正常であり、経過観察、動悸に関しては以前に処方されていたベラパミルを内服して対応した。その後も同様の発熱は持続しており、入院7日前には右頸部痛と両側顎下リンパ節の腫大、瘙痒感を伴う前胸部と両側大腿部の皮疹があり近医皮膚科を受診、オロパタジンが処方された。
入院5日前には寒気と乾性咳嗽、左腰痛もあったため、以前に受診歴のある当院肝臓内科を受診した。血液検査、尿検査を施行されたが、WBC 8,500/μL、AST 41U/L、ALT 29U/L、LDH 389U/L、ALP 77U/L、CRP 3.24mg/dL、蛋白(1+)という結果で、熱源を含め症状の原因は不明とされた。
入院4日前からは右第5指DIP(遠位指節間)関節の発赤と腫脹、左膝と左側胸部の疼痛が出現した。
入院当日に当科外来を紹介受診した。食事摂取量は普段の6割程度になっており、体重はこの3週間で1.5kg減少していた。当科受診前の1週間は夜中に着替えなければならないほど汗をかいていた。朝のこわばりやRaynaud現象、日光過敏、乾燥症状、口内炎、鼻汁は経過中にはみられなかった。発熱してからは軽い頭痛を感じるようになった。
既往歴:20年前に左側胸部の帯状疱疹、発作性上室性頻脈、前立腺肥大症、B型肝炎ウイルスのキャリア。
内服歴:ナフトピジル50mg 1日1回 朝食後、フェキソフェナジン60mg 1日2回 朝夕食後、アセトアミノフェン500mg 発熱時頓用、ベラパミル40mg 動悸時頓用、その他サプリメント等の内服なし。
家族歴:悪性腫瘍や自己免疫疾患を含めて特記事項なし。
生活・社会歴、喫煙歴:なし。
飲酒歴:5年前から断酒。
アレルギー歴:イセエビ、市販の解熱鎮痛薬で皮疹と瘙痒感あり。
職業:農業関係の研究員。
ペット:飼育なし、シックコンタクトなし。