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文献詳細

雑誌文献

総合診療34巻6号

2024年06月発行

文献概要

特集 医師のウェルビーイング 【組織で取り組むウェルビーイング】

❸ヒューマンファクター・人間工学に基づくウェルネスへの取り組み—ロチェスター大学医療センターの実例より

著者: 貝塚幸子1 竹内優貴1

所属機関: 1ロチェスター大学 医療センター 家庭医療学講座

ページ範囲:P.653 - P.657

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個人レベルのみならず組織のリーダーが率先して人間工学(HFE)を教える
 米国では、医療従事者のバーンアウトが社会問題となっています。筆者はロチェスター大学医療センターの各部署の代表で構成される「ウェルネス委員会」に参加し、そのリーダーである精神科名誉教授Privitera先生から「医療現場におけるヒューマンファクター・人間工学(human factors / ergonomics:HFE)」を学びました。HFEでは有限な認知エネルギーを動力とする人間が働く組織において、いかに認知エネルギーの消耗を抑え、効果的に活用するかという視点に立って、医療従事者のウェルネスをとらえます。バーンアウトを未然に防ぐことができる、持続可能で健康的なシステム(職場)は、良質で安全な医療を安定供給するために不可欠です。またHFEに基づくことで、感情論になりやすい課題に対しても、システムをどう最適化するかという冷静な議論をしやすくなり、一方、個人レベルでは、自己主体感が高まりストレスに対処しやすくなります。
 本稿ではHFEの概要と、主に組織レベルの介入方法について、最後に筆者が勤務するロチェスター大学医療センターと同大学家庭医療学講座での取り組みについて紹介します。

参考文献

1)JR西日本:安全研究所. https://www.westjr.co.jp/safety/labs/
2)Privitera MR : Promoting clinician well-being and patient safety using human factors science ; reducing unnecessary occupational stress. Health 14(12) : 1334-1356, 2022.
3)American Hospital Association : Science-based strategies to promote clinician well-being and patient safety / The path to employing sience-based strategies for well-being. 2023. https://www.aha.org/system/files/media/file/2023/05/workforce-flow-infographic%20%28002%29.pdf 〈文献2に基づくインフォグラフィック〉
4)Privitera MR : Addressing human factors in burnout and the delivery of healthcare ; quality & safety imperative of the quadruple aim. Health 10(5) : 629-644, 2018.
5)Kaizuka S, et al : Notes 2.0 ; reducing documentation burden. Fam Pract Manag 29(4) : 19-24, 2022. PMID 35820189
6)West CP, et al : Interventions to prevent and reduce physician burnout ; a systematic review and meta-analysis. Lancet 388(10057) : 2272-2281, 2016. PMID 27692469

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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