文献詳細
文献概要
特集 医師のウェルビーイング 【個人で取り組むウェルビーイング】
❷個人でできるウェルビーイングへのアプローチ—今日から始める小さな目標の設定
著者: 平野早秀子1
所属機関: 1ミシガン大学 家庭医療学講座
ページ範囲:P.667 - P.671
文献購入ページに移動 医師が心身ともに健康でいることは、患者さんのためにも仲間のためにも重要です。元気にやりがいを感じながら楽しく働くための努力をすることに、罪悪感を感じる必要は全くありません。ただ、実際にこれを実現する方法は単純ではなく、決まった処方箋はありません。
私が働く米国でも、医師のバーンアウトの問題は深刻で、家庭医の6割以上がバーンアウトを訴えています。そこで米国家庭医学学会では、医師のウェルビーイングをリードしていく医師育成のためのフェローシップを2021年から始めました。毎年100人の家庭医を全国から募って教育し、10年間で1,000人のリーダー育成を行っています1)。このプログラムでは、医師自身のウェルビーイングと、自分を取り巻く環境の質の向上を図る方法を指導します。個人健康増進計画(Personal Health Improvement Plan:PHIP)では、根拠に基づくウェルビーイングを増進すること、自分に特有な要素や、長期的な人生の目的など、すべてを考え合わせて、小さな目標を決め、質向上のツールを使って実行に移していきます2)(図1)。
私が働く米国でも、医師のバーンアウトの問題は深刻で、家庭医の6割以上がバーンアウトを訴えています。そこで米国家庭医学学会では、医師のウェルビーイングをリードしていく医師育成のためのフェローシップを2021年から始めました。毎年100人の家庭医を全国から募って教育し、10年間で1,000人のリーダー育成を行っています1)。このプログラムでは、医師自身のウェルビーイングと、自分を取り巻く環境の質の向上を図る方法を指導します。個人健康増進計画(Personal Health Improvement Plan:PHIP)では、根拠に基づくウェルビーイングを増進すること、自分に特有な要素や、長期的な人生の目的など、すべてを考え合わせて、小さな目標を決め、質向上のツールを使って実行に移していきます2)(図1)。
参考文献
1)American Academy of Family Physicians(AAFP) : Leading Physician Well-being Certificate Program ; creating leaders of change and champions of well-being. https://www.aafp.org/family-physician/practice-and-career/managing-your-career/leading-physician-well-being.html(2024年4月17日閲覧) 〈米国家庭医学学会の医師のウェルビーイング増進をリードするフェローシップのウェブサイト〉
2)Pipas CF : A Doctor's Dozen ; Twelve Strategies for Personal Health and a Culture of Wellness. Dartmouth College Press, Hanover, 2018. 〈家庭医学学会のウェルビーイングの権威が書いた医師のウェルビーイングの手引書〉
3)Waldinger R, et al : The Good Life ; Lessons from the World's Longest Scientific Study of Happiness. Simon & Schuster, New York, 2023. 〈80年間の縦断研究に基づき、よい人生についての研究を一般読者向けにまとめた本〉
4)Seligman MEP, 2012 / 宇野カオリ(監訳):ポジティブ心理学の挑戦—“幸福”から“持続的幸福”へ.ディスカヴァー・トゥエンティワン,2014. 〈ポジティブ心理学の学術論文や根拠をわかりやすく一般読者向けに書いた本〉
5)Emmons RA, et al, 2013 /中村浩史(訳):「感謝」の心理学—心理学者がすすめる「感謝する自分」を育む21日間プログラム.産業能率大学出版部,2021. 〈感謝の気持ちを促進する実践をすることでウェルビーイングを増進できるという研究結果を示し、実際の実践方法を書いた本〉
6)Pink DH : Drive ; The Surprising Truth About What Motivates Us. Riverhead Books, New York, 2009. 〈モチベーションに関する研究をまとめた本〉
7)Trzeciak S, et al : Compassionomics ; the Revolutionary Scientific Evidence That Caring Makes a Difference. Studer Group, Chicago, 2019. 〈思いやりのある行いについての系統的レビュー〉
8)Dweck C, 2006 / 今西康子(訳):マインドセット—「やればできる!」の研究.草思社,2016. 〈マインドセットのもち方によって能力が変わることを示した研究結果の集結〉
9)García H, et al : Ikigai ; the Japanese secret to a long and happy life. Penguin Books, London, 2017. 〈生きがいのコンセプトと長生きの秘訣についてデータに基づいてまとめた本〉
10)Covey SR, 1989 / フランクリン・コヴィー・ジャパン(訳):完訳7 つの習慣—人格主義の回復.キングベアー出版,2013. 〈リーダーシップ論の権威による私的成功につながる習慣を教える本〉
掲載誌情報