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文献概要
特集 医師のウェルビーイング 【個人で取り組むウェルビーイング】
❻キャリアとウェルビーイング—自分らしいキャリアのための考え方
著者: 浅川麻里1
所属機関: 1
ページ範囲:P.686 - P.689
文献購入ページに移動 現在コーチングを通じて多くの若手〜中堅医師のキャリアや人生全体についての悩みを聞いていると、「限界まで長時間働くべきであり、余力を残してはいけない」「健康的な生活をするのは(周りの同僚に対して)申し訳ない」「人生はつらく苦しい修行であり、楽しんではいけない」といった、不健康と言わざるをえないキャリア観をもっている医師が多いことに気づかされる。とはいえ筆者自身も、以前はかなり歪んだキャリア観をもっており、何度かバーンアウト寸前に陥ったことがある。
医療者の過重労働が問題視され、ワークライフ・バランスやワークライフ・インテグレーションなど、ウェルビーイングの概念が提唱されて久しい。さまざまな組織的・個人的な取り組みがなされているが、現実的には未だワークとライフは対立構造であり、医療者のバーンアウトや健康問題は喫緊の課題である。医師のキャリア支援者として、医療者一人ひとりのキャリアに対する価値観が変わらなければ、組織に深く根づいている慣習を変えるのは難しいと感じている。
医療者の過重労働が問題視され、ワークライフ・バランスやワークライフ・インテグレーションなど、ウェルビーイングの概念が提唱されて久しい。さまざまな組織的・個人的な取り組みがなされているが、現実的には未だワークとライフは対立構造であり、医療者のバーンアウトや健康問題は喫緊の課題である。医師のキャリア支援者として、医療者一人ひとりのキャリアに対する価値観が変わらなければ、組織に深く根づいている慣習を変えるのは難しいと感じている。
参考文献
1)World Medical Association : WMA Statement on Physicians Well-Being ; adopted by the 66th WMA general assembly, Moscow, Russia, October 2015. WMA, 2017.
2)Kamihiro N, et al : Deconstructing the masculinized assumption of the medical profession ; narratives of Japanese physician fathers. BMC Med Educ 23(1) : 857, 2023. PMID 37953240
3)Kim JY, et al : Understanding contemporary forms of exploitation ; attributions of passion serve to legitimize the poor treatment of workers. J Pers Soc Psychol 118(1) : 121-148, 2020. PMID 30998042
4)賀來敦:医学領域のキャリア教育の問題点—キャリア教育のprofessionalismの視点から.医学教育47(3) : 188-189, 2016.
5)Buffington BC, et al : Career wellness. American Nurse Today 13(6) : 20-21, 2018.
6)経済産業省中小企業庁:「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(人材力研究会)報告書.経済産業省,2018.
7)Dyrbye LN, et al : Effect of a professional coaching intervention on the well-being and distress of physicians ; a pilot randomized clinical trial. JAMA Intern Med 179(10) : 1406-1414, 2019. PMID 31380892
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