icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療34巻7号

2024年07月発行

文献概要

特集 どうする!? 健診異常—これってホントに異常なの? どう説明する? 【総論】

❷ 健診・検診の必要性とエビデンス

著者: 内藤俊夫1

所属機関: 1順天堂大学医学部 総合診療科学講座

ページ範囲:P.762 - P.766

文献購入ページに移動
Q.健診・検診に対してどのようなイメージをもっていますか?
 検診にはポジティブな面がある半面、必ずしもそうとは言えない部分もあります。日本でPETが行われ始めた頃、ある病院で母がPET検診を受け、縦隔にて1cmもないような光る部分が発見されました。結局は全く問題なく、今も元気でいますが、検診後5年ほど、母はそのことが心配で仕方がなく、旅行へ行っても楽しめず、頻繁に通院することになり、いわば社会的な損失を被る結果になりました。このように、1回の検診がその人のQOLを数年にわたって落としてしまう可能性も十分にあるわけです。検診のネガティブな面ですね。
 韓国でも同様に、ある日突然、「甲状腺エコーを健診に組み込めばよい」と言い出した人がおり、甲状腺エコー検診が始まりました。結果的に、韓国の若年層に甲状腺癌が数多く見つかり、その多くが摘出術を希望する一方、甲状腺癌による死亡者数は変わりませんでした1)。それは決して国のためにはならず、最終的には検査が中止となりました。医学界では大きなニュースとなり、何かの検診を導入したことで、むしろ問題が増えるという事例として扱われています。

参考文献

1)Ahn HS, et al : N Engl J Med 373(24) : 2389-2390, 2015. PMID 26650173

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?