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特集 ストーン・ウォーズ 果てしなき“石”と医師との闘い 【疾患別各論〜コモンな疾患群】
❻筋骨格系—CPPD/石灰化腱板炎/脊柱靭帯骨化症
著者: 多田尭央1
所属機関: 1昭和大学病院 リウマチ・膠原病内科
ページ範囲:P.898 - P.901
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日常診療で「石」に遭遇する機会は多く、本特集に一通り目を通していただくと、あらゆる臓器に石灰化が起きると感じていただけると思います。管腔閉塞症状を起こすことはありますが、多くは無症候性石灰化であり、臨床上問題になることは少ないです。むしろ、各臓器の石灰化を見た時には、症候性病態の考察ではなく、変性、壊死組織の転帰、代謝異常に思いを巡らせることが重要と考えます。そして、石灰化において共通した最大の要因は加齢でしょう。本稿では筋骨格系の石灰化を取り扱いますが、筋骨格系の中でもさまざまな構造物に石灰沈着は生じます。関節内腔にとどまらず、腱、腱鞘、滑液包といった関節外、さらには筋、脊椎にも石灰化は起こりえます。他臓器と同様に無症候性沈着であることが多いですが、筋骨格系では本稿で扱うcalcium pyrophosphate deposition(CPPD)や、他稿で扱う石灰沈着性頸長筋腱炎(→p.906)のように、石灰沈着に対する炎症性病態を呈する可能性があります。本特集のテーマである“石”の中で、筋骨格系は有症候性となりうる臓器として注目いただけると幸いです。
日常診療で「石」に遭遇する機会は多く、本特集に一通り目を通していただくと、あらゆる臓器に石灰化が起きると感じていただけると思います。管腔閉塞症状を起こすことはありますが、多くは無症候性石灰化であり、臨床上問題になることは少ないです。むしろ、各臓器の石灰化を見た時には、症候性病態の考察ではなく、変性、壊死組織の転帰、代謝異常に思いを巡らせることが重要と考えます。そして、石灰化において共通した最大の要因は加齢でしょう。本稿では筋骨格系の石灰化を取り扱いますが、筋骨格系の中でもさまざまな構造物に石灰沈着は生じます。関節内腔にとどまらず、腱、腱鞘、滑液包といった関節外、さらには筋、脊椎にも石灰化は起こりえます。他臓器と同様に無症候性沈着であることが多いですが、筋骨格系では本稿で扱うcalcium pyrophosphate deposition(CPPD)や、他稿で扱う石灰沈着性頸長筋腱炎(→p.906)のように、石灰沈着に対する炎症性病態を呈する可能性があります。本特集のテーマである“石”の中で、筋骨格系は有症候性となりうる臓器として注目いただけると幸いです。
参考文献
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