文献詳細
文献概要
特集 ストーン・ウォーズ 果てしなき“石”と医師との闘い 【疾患別各論〜レアな疾患群】
❿収縮性心膜炎(心膜石灰化)
著者: 坂口拓夢1
所属機関: 1高松赤十字病院 感染症内科
ページ範囲:P.916 - P.917
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患者:71歳、男性。
既往歴:高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病。
現病歴:5カ月前より労作時呼吸苦が出現。3カ月前に健康診断で胸腹水、心嚢液貯留、全身性浮腫を指摘され、他院を受診。精査したものの原因は特定されず、利尿薬内服で改善傾向となり、近医へ逆紹介となった。症状は軽快したため2週間前より利尿薬が中止となったが、その後徐々に労作時呼吸苦が増悪、胸水貯留も出現したため、総合内科を紹介受診となった。身体所見上、頸静脈の怒張、両側下腿に圧痕性浮腫を認め、CT検査(図1)では右胸水貯留と心膜のびまん性肥厚が認められたが、心拡大は認められなかった。経胸壁心エコーでは収縮能低下や壁肥厚は認められなかったものの、僧帽弁輪中隔側の組織ドプラ(medial septal e')≧9cm/s、僧帽弁輪中隔側と側壁側の組織ドプラの比(medial e'/lateral e')≧0.91、呼気時の拡張期の逆行性肝静脈流速/順行性肝静脈流速≧0.79などの収縮性心膜炎を疑うドプラエコー所見が認められ、確定診断のため心臓カテーテル検査を実施することとなった。
心臓カテーテル検査(図2)では、dip and plateau、右室拡張末期圧と左室拡張末期圧の差の縮小、右室拡張末期圧の上昇(右室収縮期圧の1/3以上)などの収縮性心膜炎を示す所見が認められたため、慢性収縮性心膜炎と診断した。利尿薬の増量で経過を見ていたが、症状の改善乏しく、心膜切除術を実施することとなった。心膜の病理検査では、心膜の肥厚と線維化・硝子化を認め、収縮性心膜炎所見と合致した。術後は体重の減少、労作時呼吸苦の改善を認めている。
患者:71歳、男性。
既往歴:高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病。
現病歴:5カ月前より労作時呼吸苦が出現。3カ月前に健康診断で胸腹水、心嚢液貯留、全身性浮腫を指摘され、他院を受診。精査したものの原因は特定されず、利尿薬内服で改善傾向となり、近医へ逆紹介となった。症状は軽快したため2週間前より利尿薬が中止となったが、その後徐々に労作時呼吸苦が増悪、胸水貯留も出現したため、総合内科を紹介受診となった。身体所見上、頸静脈の怒張、両側下腿に圧痕性浮腫を認め、CT検査(図1)では右胸水貯留と心膜のびまん性肥厚が認められたが、心拡大は認められなかった。経胸壁心エコーでは収縮能低下や壁肥厚は認められなかったものの、僧帽弁輪中隔側の組織ドプラ(medial septal e')≧9cm/s、僧帽弁輪中隔側と側壁側の組織ドプラの比(medial e'/lateral e')≧0.91、呼気時の拡張期の逆行性肝静脈流速/順行性肝静脈流速≧0.79などの収縮性心膜炎を疑うドプラエコー所見が認められ、確定診断のため心臓カテーテル検査を実施することとなった。
心臓カテーテル検査(図2)では、dip and plateau、右室拡張末期圧と左室拡張末期圧の差の縮小、右室拡張末期圧の上昇(右室収縮期圧の1/3以上)などの収縮性心膜炎を示す所見が認められたため、慢性収縮性心膜炎と診断した。利尿薬の増量で経過を見ていたが、症状の改善乏しく、心膜切除術を実施することとなった。心膜の病理検査では、心膜の肥厚と線維化・硝子化を認め、収縮性心膜炎所見と合致した。術後は体重の減少、労作時呼吸苦の改善を認めている。
参考文献
1)Imazio M, et al : Medical therapy of pericardial diseases ; part II ; noninfectious pericarditis, pericardial effusion and constrictive pericarditis. J Cardiovasc Med(Hagerstown) 11(11) : 785-794, 2010. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20925146
2)Ling LH, et al : Constrictive pericarditis in the modern era ; evolving clinical spectrum and impact on outcome after pericardiectomy. Circulation 100(13) : 1380-1386, 1999. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10500037
3)Ling LH, et al : Calcific constrictive pericarditis ; is it still with us? Ann Intern Med 132(6) : 444-450, 2000. Erratum In Ann Intern Med 133(8) : 659, 2000. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10733443
4)Welch TD, et al : Echocardiographic diagnosis of constrictive pericarditis ; Mayo Clinic criteria. Circ Cardiovasc Imaging 7(3) : 526-534, 2014. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24633783
5)Adler Y, et al : 2015 ESC Guidelines for the diagnosis and management of pericardial diseases ; the Task Force for the Diagnosis and Management of Pericardial Diseases of the European Society of Cardiology (ESC)Endorsed by ; the European Association for Cardio-Thoracic Surgery (EACTS). Eur Heart J 36(42) : 2921-2964, 2015. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26320112
6)Bertog SC, et al : Constrictive pericarditis ; etiology and cause-specific survival after pericardiectomy. J Am Coll Cardiol 43(8) : 1445-1452, 2004. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15093882
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