文献詳細
文献概要
特集 ストーン・ウォーズ 果てしなき“石”と医師との闘い 【病態別各論】
❷感染症と石灰化病変
著者: 宮里悠佑1
所属機関: 1橋本市民病院 総合診療科
ページ範囲:P.924 - P.926
文献購入ページに移動石灰化病変を引き起こす感染症
ここまでの項で説明されているように、さまざまな原因疾患・機序で石灰化が起こりうる。石灰化は感染症と関与することも多いが、日常診療で経験する頻度が高いのは、「石」を契機に感染症が起こる場合と思われる。たとえば尿路結石のある患者が尿路感染症を起こしたり、総胆管結石をもつ患者が急性胆管炎を起こす、というものである。しかし本稿では逆に、成人の感染症をきっかけに、石灰化病変が生じる病態を取り上げる。石灰化病変をきっかけに、遭遇頻度が低い感染症の診断に役立てば幸いである。紙面の都合から治療については割愛した。治療ガイドラインや成書などを参考にしていただきたい。
ここまでの項で説明されているように、さまざまな原因疾患・機序で石灰化が起こりうる。石灰化は感染症と関与することも多いが、日常診療で経験する頻度が高いのは、「石」を契機に感染症が起こる場合と思われる。たとえば尿路結石のある患者が尿路感染症を起こしたり、総胆管結石をもつ患者が急性胆管炎を起こす、というものである。しかし本稿では逆に、成人の感染症をきっかけに、石灰化病変が生じる病態を取り上げる。石灰化病変をきっかけに、遭遇頻度が低い感染症の診断に役立てば幸いである。紙面の都合から治療については割愛した。治療ガイドラインや成書などを参考にしていただきたい。
参考文献
1)Chan ED, et al : Calcium deposition with or without bone formation in the lung. Am J Respir Crit Care Med 165(12) : 1654-1669, 2002.〈肺に石灰化を引き起こす疾患をまとめたレビュー。病態のメカニズムや各疾患とその画像所見についても記述されている〉https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12070068
2)Lee JH, et al : Endobronchial tuberculosis. Clinical and bronchoscopic features in 121 cases. Chest 102(4) : 990-994, 1992. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1395814
3)Bennett JE, et al(ed) : Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases, 9 ed. Elsevier, Philadelphia, 2020.〈臨床感染症学の成書〉
4)国立感染症研究所:ヒストプラズマ症とは.https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/471-histoplasmosis-info.html
5)CDC : DPDx ; Laboratory Identification of Parasites of Public Health Concern. https://www.cdc.gov/dpdx/index.html〈臨床的に問題となる寄生虫疾患について疫学・生活環・臨床症状・診断を中心に記載されている。生活環がわかりやすく図示され、顕微鏡写真などのアトラスも豊富〉
6)White AC Jr, et al : Diagnosis and treatment of neurocysticercosis ; 2017 clinical practice guidelines by the Infectious Diseases Society of America (IDSA) and the American Society of Tropical Medicine and Hygiene(ASTMH). Am J Trop Med Hyg 98(4) : 945-966, 2018.〈神経嚢虫症の診断・治療のためのガイドライン〉https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29644966
7)日本医療研究開発機構新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「わが国における熱帯病・寄生虫症の最適な診断治療予防体制の構築」:寄生虫症薬物治療の手引き,改訂第10.2版.熱帯病治療薬研究班オーファンドラッグ中央保管機関,2020.https://jsparasitol.org/wp-content/uploads/2022/01/tebiki_2020ver10.2.pdf〈国内で執筆された寄生虫症全般に対する治療指針。治療だけではなく、臨床症状や診断についても記載されている〉
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