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文献詳細

雑誌文献

総合診療34巻8号

2024年08月発行

文献概要

ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学・17

解剖制度のお話

著者: 森田沙斗武1

所属機関: 1大阪はびきの医療センター 臨床法制研究室

ページ範囲:P.960 - P.963

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Case
患者:74歳、男性
既往歴:高血圧、2型糖尿病、糖尿病性腎症
病歴:妻との二人暮らし。亭主関白で妻の忠告を聞かず、気に入らないとすぐに暴言を吐いていた。2型糖尿病で当院通院中であったがアドヒアランスは不良で、薬の服薬状態は判然としなかった。HbA1c 9.0%前後を推移しており、尿蛋白3+を認めたが、強く指導することもできず、継続処方していた。
 某日、当院に警察から連絡があり、自宅のベッド上で死亡しているのを発見されたという。そのため、生前の情報を教えてほしいと言われた。しかし、警察からの連絡というだけで、任意の捜査協力であったため「患者さんの情報はみだりに外部にお伝えできない。本当に必要であれば捜査令状を持ってきてください」と返事をした。
 翌日、遠方に住み医療関係の仕事をしているという患者の息子から電話があり「解剖もされず、ろくな検査もせず、虚血性心疾患と診断された。ちゃんと解剖して調べてほしいと警察にお願いしたが、事件性はないため捜査は完了していると言われた。調べたところ、病院でも解剖をやっていると知った。病院で死因を調べてほしい」と言われた。
 当院での病理解剖は病院内で死亡した症例のみであり、対応できないと説明した。「入院患者は解剖できるのに、外来患者は解剖できない法律はあるのですか?」「では、どこにお願いしたら死因が判明するのですか?」と矢継ぎ早に尋ねられたが、「当院では対応できない。他のことはわからない」と説明するより仕方がなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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