文献詳細
文献概要
特集 今伝えたいクリニカル・パール—つくり方、使い方、活かし方 【継承された“とっておきパール”】
❽Do small things with great Love
著者: 鍋島志穂1
所属機関: 1諏訪中央病院 診療所科(執筆時)
ページ範囲:P.1047 - P.1047
文献購入ページに移動 今から20年ほど前、医学部の学生だった私は、春休みにインド・コルカタにあるマザー・テレサの施設「カリガート(死を待つ人の家)」でのボランティア活動に参加した。毎朝、カリガートに行く前に、マザーハウス(マザーの立ち上げたMissionaries of Charityの本部であり、マザーやシスターたちの家)で聖書の一節を音読し、聖歌を歌う。その建物の一室にマザー・テレサが眠る棺があり、誰でもそこを訪れることができる。その棺の上に、オレンジ色の花びらを使ってマザーの言葉が書かれていた。その時にそこで出合った言葉が“Do small things with great Love”であった。「小さなことに大きな愛を込めて行いなさい」というこの言葉を、それからの人生で何度も心のなかで繰り返しながら生きてきた。
私たちの生きる毎日は、当たり前に思っているけれどそうではない、たくさんの小さな幸せと奇跡の連続である。毎朝目が覚めること、ベッドから自分で起き上がり、自分の足でトイレに行き用が足せること、階段を降りてリビングで家族と「おはよう」と言い合えること、美味しくご飯が食べられること…何ともないこのような日常は、本当はかけがえのない幸せな一瞬一瞬でできているのだと思う。このことは、21歳で交通事故に遭い、意識がなく体の中にありとあらゆる管を入れられて生死をさまよった2カ月間、その後命は助かったものの、自分で寝返りさえうてず、座ることも立つことも、食べることも全くできないということをこの身を以て経験した時に衝撃にも似た感覚でわかったことなのだ。
私たちの生きる毎日は、当たり前に思っているけれどそうではない、たくさんの小さな幸せと奇跡の連続である。毎朝目が覚めること、ベッドから自分で起き上がり、自分の足でトイレに行き用が足せること、階段を降りてリビングで家族と「おはよう」と言い合えること、美味しくご飯が食べられること…何ともないこのような日常は、本当はかけがえのない幸せな一瞬一瞬でできているのだと思う。このことは、21歳で交通事故に遭い、意識がなく体の中にありとあらゆる管を入れられて生死をさまよった2カ月間、その後命は助かったものの、自分で寝返りさえうてず、座ることも立つことも、食べることも全くできないということをこの身を以て経験した時に衝撃にも似た感覚でわかったことなのだ。
参考文献
1)Kumar S : Blessed Teresa of Kolkata. Om Books International, Uttar Pradesh, 2007.
掲載誌情報