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特集 今伝えたいクリニカル・パール—つくり方、使い方、活かし方 【継承された“とっておきパール”】
⓫外傷に至った原因を突き止めることは重要である。しかしながら、その原因を突き止めた後、外傷そのものに対する再評価をすることはさらに重要である
著者: 山里一志1
所属機関: 1練馬光が丘病院 総合診療部門
ページ範囲:P.1052 - P.1052
文献購入ページに移動頻回の転倒の原因としてラクナ梗塞が同定されるも、入院後に急激な心肺停止に至った事例
患者:80歳、男性
主訴・搬送理由:転倒、歩行困難。
病歴と入院後の経過:高血圧症以外には特記すべき既往はなく、身体機能に問題なく日常生活を送っていた。搬送当日の朝より自宅内で頻回に転倒し、歩行が困難であることから搬送当日の夕に家人により救急要請されて搬送となった。搬送時、左上下肢のごく軽微な片麻痺と顕著な失調を認め、頭部MRI検査で右内包後脚近傍に梗塞巣を認めた。夜間の救急対応を行った総合診療医は「ラクナ梗塞によるataxic hemiparesis1,2)によって頻回に転倒した」とのアセスメントで入院治療を開始したが、数時間後に急激な酸素飽和度低下、徐脈の先行する心肺停止に至り、蘇生を試みるも回復することなく死亡した。事後の検証で自宅内での転倒の際に頭部打撲もあり、救急搬送時には四肢のしびれ感も訴えていたことから、外傷性頸髄損傷が併存したものと推定された。
患者:80歳、男性
主訴・搬送理由:転倒、歩行困難。
病歴と入院後の経過:高血圧症以外には特記すべき既往はなく、身体機能に問題なく日常生活を送っていた。搬送当日の朝より自宅内で頻回に転倒し、歩行が困難であることから搬送当日の夕に家人により救急要請されて搬送となった。搬送時、左上下肢のごく軽微な片麻痺と顕著な失調を認め、頭部MRI検査で右内包後脚近傍に梗塞巣を認めた。夜間の救急対応を行った総合診療医は「ラクナ梗塞によるataxic hemiparesis1,2)によって頻回に転倒した」とのアセスメントで入院治療を開始したが、数時間後に急激な酸素飽和度低下、徐脈の先行する心肺停止に至り、蘇生を試みるも回復することなく死亡した。事後の検証で自宅内での転倒の際に頭部打撲もあり、救急搬送時には四肢のしびれ感も訴えていたことから、外傷性頸髄損傷が併存したものと推定された。
参考文献
1)Fisher CM, et al : J Neurol Neurosurg Psychiatry 28(1) : 48-55, 1965. PMID 14264299 〈Fisherによる片側の錐体路障害と同側の小脳失調様の失調を呈する患者についてまとめた文献〉
2)Fisher CM : Arch Neurol 35(3) : 126-128, 1978. PMID 629655 〈Fisherが初めて“ataxic hemiparesis”という用語を提唱した文献〉
3)福本伸行:銀と金,3巻.フクモトプロ/highstone, Inc., 2013.
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