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#書評:発達障害Q&A—臨床の疑問に応える104問 フリーアクセス
著者: 小平雅基1
所属機関: 1総合母子保健センター愛育クリニック 小児精神保健科
ページ範囲:P.1088 - P.1089
文献概要
今では「発達障害」という言葉は世間一般に広く知れわたるようになっているが、その概念は時代とともに拡大してきた経過がある。歴史をさかのぼると1963年に米国で法律用語として誕生した「発達障害」という用語だが、さまざまな変遷を経て日本でその社会的理解や支援が促進される転換期となったのは2005年「発達障害者支援法」の施行といえる。ただし非営利団体が行ったある調査によれば、「発達障害」の社会的認知度は高い一方で、当事者や家族の多くは「十分に理解されていない」と感じているというギャップが存在することも報告されている。これは社会的な認知度が高まる一方、ともすればスティグマになりかねない危うさを示しているともいえよう。同様に「グレーゾーン」「Highly Sensitive Child」などといった言葉も発達障害と絡んで臨床現場に広がってきているが、これらもまた整理が難しく、そのような用語を使用する背景には、さまざまな医師側の葛藤が見え隠れしているようにも思える。
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