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特集 肺高血圧症Cutting Edge Ⅴ.肺高血圧症のトピックスあるいはコントラバーシ
肺高血圧症治療の費用対効果
著者: 五十嵐中1
所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学
ページ範囲:P.468 - P.473
文献購入ページに移動半世紀以上の長きにわたって日本では,「国民皆保険制度」という言葉が「すべての国民が公的医療制度に加入できる(実質的には,加入する義務がある)」状態という本来の定義を超えて,「その公的医療制度でほぼすべての医薬品が賄われる」状態として理解されてきた.
高く評価されてきた日本の医療保険制度であるが,財政面では大きな課題に直面している.国民医療費は,2013年度には初めて40兆円を超え,GDPに占める割合も8.29%と過去最高になっている.2010年の厚生労働省の試算では,2025年には国民医療費は52.3兆円に達するとみられている.医療費増大の要因としては,高齢化だけでなく,医療技術の高度化も関与している.例えば2015年のデータでは,国民医療費の伸び率3.8%に対して,高齢化の寄与が+1.2%,人口変動の寄与が−0.1%(人口減少のため,マイナスの値),そして医療技術の高度化などを含む「その他」の要因が+2.7%と,高齢化以外の要因の寄与が大きくなっている.「その他」の要因の寄与割合2.7%は,2000年以降で最も大きな数値でもある.
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