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文献詳細

雑誌文献

循環器ジャーナル66巻3号

2018年07月発行

文献概要

特集 肺高血圧症Cutting Edge Ⅴ.肺高血圧症のトピックスあるいはコントラバーシ

肺高血圧症治療の費用対効果

著者: 五十嵐中1

所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学

ページ範囲:P.468 - P.473

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国民皆保険とは?
 半世紀以上の長きにわたって日本では,「国民皆保険制度」という言葉が「すべての国民が公的医療制度に加入できる(実質的には,加入する義務がある)」状態という本来の定義を超えて,「その公的医療制度でほぼすべての医薬品が賄われる」状態として理解されてきた.
 高く評価されてきた日本の医療保険制度であるが,財政面では大きな課題に直面している.国民医療費は,2013年度には初めて40兆円を超え,GDPに占める割合も8.29%と過去最高になっている.2010年の厚生労働省の試算では,2025年には国民医療費は52.3兆円に達するとみられている.医療費増大の要因としては,高齢化だけでなく,医療技術の高度化も関与している.例えば2015年のデータでは,国民医療費の伸び率3.8%に対して,高齢化の寄与が+1.2%,人口変動の寄与が−0.1%(人口減少のため,マイナスの値),そして医療技術の高度化などを含む「その他」の要因が+2.7%と,高齢化以外の要因の寄与が大きくなっている.「その他」の要因の寄与割合2.7%は,2000年以降で最も大きな数値でもある.

参考文献

1) Coyle K, Coyle D, Blouin J, et al:Cost Effectiveness of First-Line Oral Therapies for Pulmonary Arterial Hypertension:A Modelling Study. Pharmacoeconomics 34:509-520, 2016
2) Igarashi A, Inoue S, Ishii T, et al:Comparative Effectiveness of Oral Medications for Pulmonary Arterial Hypertension. Int Heart J 57:466-472, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2432-3292

印刷版ISSN:2432-3284

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