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特集 ここが変わった!循環器診療 最新スタンダード Ⅰ.疾患各論
先天性心疾患
著者: 弓田悠介12 椎名由美3
所属機関: 1 2防衛医科大学校循環器内科 3聖路加国際病院心血管センター循環器内科
ページ範囲:P.62 - P.68
文献購入ページに移動●過去のスタンダード(2017年ガイドライン発表時)
・先天性心疾患(CHD)は生産児の約100人に1人の割合で発生し,そのうち約90%が生存して成人するため,2020年には成人先天性心疾患(ACHD)患者数は小児患者数をはるかに凌駕すると予想される.
・米国では2015年に専門医制度が発足し,専門施設による診療体制が整備されている.本邦でも専門医の育成,専門施設を中心とする多職種によるチーム医療の診療体制の整備が必要である.
・Fallot四徴症術後の肺動脈弁閉鎖不全に対する経カテーテル肺動脈弁留置術は欧米を中心に多くの国で実施されており,今後国内での導入が待たれる.
●現在のスタンダード
・CHDの予後は手術および内科的治療法の発展により改善傾向にあり,特に乳幼児期の死亡率が改善された結果,ACHD患者数の割合は既にCHD患者全体の2/3を超えている.これによりACHD患者における複雑CHD患者数は増加しているが,依然として中等度から複雑CHD患者の平均余命は一般人口のそれより20年程度少なく,生涯にわたるケアが重要である.
・本邦においても2022年より専門医制度が正式に開始されるとともに,2021年に総合修練施設,連携修練施設の認定が開始され,これらの専門病院を中心とした診療体制の整備が始まっている.
・2021年に本邦でも経カテーテル肺動脈弁留置デバイスが承認され,2022年に国内第一例が報告されたところであり,今後の急速な発展が期待される.
参考文献
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