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特集 変革期を迎えた肺高血圧症—次世代の病態理解,診断,治療とは? Ⅱ.各論:各種肺高血圧症の診断と治療
atypical PAHの病態と治療
著者: 足立史郎1
所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院循環器内科
ページ範囲:P.523 - P.528
文献購入ページに移動●世界的に高齢で診断されるIPAHが増加してきている.typicalなIPAHと異なり,高齢者特有の問題が併存しておりatypical PAHと呼ばれるようになった.atypical PAHにはcardiac phenotypeとpulmonary phenotypeがあり,その合併もあり得る.
●cardiac phenotypeの多くはHFpEFを合併したPAHであり,硬い左室が問題である.2群PHとtypical PAHとの間にある概念である.肺血管拡張薬によるうっ血のリスクであり,HFpEFへの治療介入の後,単剤から慎重に治療を考慮するほうがよい.
●pulmonary phenotypeは,肺疾患の診断に至らない軽微な肺野の異常と,低い%DLCOが併存したPAHである.肺血管拡張薬による低酸素血症の増悪が危惧されるため,在宅酸素療法や肺疾患への介入を考慮しつつ,肺血管拡張薬は単剤から慎重に使用するほうがよい.
●typical PAHは肺循環障害だけが問題であることが多く,早期併用療法が安全に選択できる.一方,atypical PAHは,肺循環障害だけでなく心疾患や肺疾患などの他の問題を抱えたPAHであり,早期併用療法はリスクである.
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