治療のポイント
・突然の胸痛を訴える患者のマネジメントはすべての臨床医にとってきわめて重要である.それは突然死につながる重篤な疾患の可能性があるからである.診察にはまずは重篤な疾患を鑑別し,その後に一般的な疾患を考慮していく.重篤な鑑別として急性心筋梗塞,肺血栓・塞栓症,急性大動脈解離,緊張性気胸などを考慮する.頻度としては,逆流性食道炎によるものや筋骨格系に由来する胸痛なども多くみられる.本項では主に致死的な疾患について記載する.
・スピード感をもった診療が求められる.すなわち常に鑑別診断を意識しながら迅速に診断検査を行い,同時に早期の治療介入についても準備しておく.
・心停止に陥った場合,まずは適切な心肺蘇生(ACLS)を行う.資機材やスキルを含めて事前の準備が重要となる.
◆病態と診断
A病態
・胸痛をきたす疾患の病態を理解することは適切な治療にもつながる.例えば心筋梗塞による突然の胸痛例では,