今日の診療
治療指針

不整脈
emergency arrhythmias
笠岡俊志
(熊本大学病院教授・災害医療教育研究センター)

治療のポイント

・不整脈の心電図診断とともにバイタルサインの評価を行う.

・抗不整脈薬の投与後は循環動態の変化に注意する.

・症候の有無にかかわらず循環器専門医へコンサルトを行う.

◆病態と診断

A病態

・心臓の拍動リズムや心拍数に異常を認める状態.

・器質的心疾患に合併することも多い.

・血圧低下や呼吸困難を認める場合は不安定な不整脈と評価する.

B診断

心電図モニタを装着するとともに12誘導心電図を記録する.

・頻脈性不整脈:期外収縮,発作性上室頻拍,心房細動,心房粗動,心室頻拍,心室細動.

・徐脈性不整脈:洞不全症候群,房室ブロック.

◆治療方針

 心電図で不整脈の診断を行い,バイタルサインをチェックして緊急度を判断する.ショックや意識障害を認める場合は直ちに救命処置を行う.

A発作性上室頻拍

 狭いQRS幅の発作性頻拍であり,循環動態が不安定であれば同期電気ショックを行う.安定であれば発作停止のため迷走神経刺激手技やアデノシン三リン酸(ATP)の急速静注を行う.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)アデノシン三リン酸(アデホス-L)注 1回10~20mg 急速静注保外

2)ベラパミル(ワソラン)注 1回5mg 5分間で静注

B心房細動

 発作性と持続性に分けられ,持続期間が長期化すると洞調律への復帰は困難となる.心原性塞栓症のリスク評価を行い抗凝固療法の適応を考慮する.循環動態が不安定な場合は同期電気ショックを行う.

Px処方例 1)はリズムコントロール(洞調律維持)に,2)はレートコントロール(心拍数調節)に用いる.

1)ピルシカイニド(サンリズム)注 1回1.0mg/kg 10分間で静注

2)ランジオロール(オノアクト)注 1μg/kg/分で持続静注を開始,1~10μg/kg/分で適宜調節

C心室頻拍

 広いQRS幅(0.12秒以上)の頻拍であり,循環動態が不安定な場合は同期電気ショックを行う.

P

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?