GL血尿診断ガイドライン2013
治療のポイント
・肉眼的血尿は,小児や25歳以下の若年者を除くと大部分が泌尿器疾患によることが多く,まず泌尿器科的な精査を行う.
・特に無症候性肉眼的血尿は,尿路上皮癌(腎盂尿管癌・膀胱癌)の発見の契機となる.
・外傷に伴う肉眼的血尿は,腎外傷や膀胱外傷・尿道損傷を疑う.
・高度血尿で貧血や全身循環不全を起こしている場合には,直ちに輸血など全身管理を行う.
・近年抗凝固薬を内服している症例も多く,血尿がより強く現れる可能性もある.
・原疾患不明のままで安易な止血薬の処方を行わない.
◆病態と診断
A病態
・一般に1Lの尿に1mL以上の血液が混入すると,血尿として認識される.濃縮尿,ヘモグロビン尿,ミオグロビン尿やリファンピシンなどの薬剤による赤色尿と鑑別を要する.
・原因は尿路系に出血する病態であり,腎疾患性,腎血管性病変,ナットクラッカー症候群など尿路系先天性疾患,尿路感染症,尿路結石症,尿路性器腫瘍(尿路上皮癌,腎癌,前立腺癌,前立腺肥大症),腎尿路外傷,放射線性膀胱炎が挙げられる.さらに血液凝固系異常などの全身疾患による場合や抗凝固薬の内服による増幅効果もある.
B診断
・まず詳細な病歴聴取を行い,随伴症状を確認する.
・血尿は実際に尿に血液が混入しているかを確認する必要がある.よって尿検査として尿沈渣とともに尿細胞診,尿路感染があれば尿培養を提出する.
・スクリーニング検査としては,腹部超音波検査が即時型で非侵襲的検査であるため第1選択である.
・腹部造影CT(できればCT尿路造影も構築する)が最も有用である.ヨードアレルギーや腎機能障害があれば,単純CTまたはMRIを行う.
・中高年男性や高年女性の無症候性血尿では,悪性腫瘍のスクリーニングとして膀胱内視鏡を必ず行うべきである.
◆治療方針
血尿は各疾患の一症状であるため,原疾患に対する治療を行うことにより止血する.