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GLアナフィラキシーガイドライン 2022
GLWorld Allergy Organization anaphylaxis guidance(2020)
治療のポイント
・初期対応では,アドレナリンの筋肉注射が,酸素投与や静脈路確保より優先される.アドレナリン投与の遅れにより死亡リスクが上昇する.
・初回反応が軽快したのちに症状が再燃する二相性(遅発性)の経過をとる場合があり,注意を要する.
◆病態と診断
A病態
・アナフィラキシーとは「アレルゲンなどの侵入により,複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され,生命に危機を与えうる過敏反応」と定義される.血圧低下や意識障害を伴う場合を,アナフィラキシーショックとよぶ.
・IgEが関与する免疫学的機序により,ヒスタミンやロイコトリエン,トロンボキサン,キニン,プロスタグランジンなどの多くの化学伝達物質が放出される.造影剤や薬剤の一部はIgEを介さず発症する.
・誘発因子は小児では食物が最も多く,運動などの刺激で増悪する.成人では薬物(抗菌薬,NSAIDs,造影剤,筋弛緩薬など)や昆虫刺傷が多い.
・薬物は過去複数回,安全に使用できた場合でも発症しうる.
・重症化の危険因子として,喘息や心血管疾患の既往歴,乳幼児,高齢者,思春期・青年期,妊娠・出産,薬剤としてβ遮断薬,ACE阻害薬の服用歴などがある.
・二相性(遅発性)は初回がショックなど重症な場合,アドレナリンを複数回投与,原因物質が不明な場合に起こりやすいとされる.
B診断
・初期症状は皮膚・粘膜症状が多いが,咳嗽,咽頭違和感,頭痛,不安感などさまざまで,必ずしも皮膚症状を伴わない場合があるため注意を要する.
・日本アレルギー学会では以下2条件のうち,いずれかに該当すればアナフィラキシーである可能性が高い.
1)皮膚,粘膜またはその両方の症状(全身性のじん麻疹,瘙痒または紅潮,口唇・舌・口蓋