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敗血症性ショック
septic shock
江木盛時
(京都大学医学部附属病院教授・麻酔科)

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GL日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)

GLSurviving Sepsis Campaign:International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2021(SSCG 2021)

治療のポイント

・敗血症性ショックは,①末梢血管拡張,②血管拡張による相対的循環血液量不足および浮腫などによる絶対的循環血液量不足,③敗血症性心筋症と称される心機能低下,の3つの病態が複合的に組み合わさって生じる.

・したがって,経時的に心エコーを用い心機能を評価しながら,輸液負荷,血管収縮薬,および強心薬を使用してショックの改善を行う.

◆病態と診断

A病態

感染症に伴う過剰な生体反応によって,組織障害臓器障害を起こす致死性の病態を敗血症と称する.

・敗血症に罹患した患者は,循環不全を併発することが多く,その急性循環不全により細胞障害および代謝異常が重度となった病態を敗血症性ショックと称する.

B診断

1.敗血症

感染症もしくは感染症の疑いがあり,かつSOFA〔sequential(sepsis-related)organ failure assessment〕スコアの合計2点以上の急上昇がある際に敗血症と診断する.

2.敗血症性ショック

・敗血症の患者において,平均動脈血圧≧65mmHg以上を保つために輸液療法に加えて血管収縮薬を必要とし,かつ血中乳酸値が2mmol/L(18mg/dL)を超える際に敗血症性ショックと診断する.

◆治療方針

 敗血症性ショックは感染を契機に発症するため,治療においては適切な抗菌薬の投与と感染巣の除去が必須となる.また敗血症性ショックは,循環血液量不足,末梢血管拡張,心機能の低下が誘因となって生じているため,その治療は①輸液による循環血液量の至適化,②血管収縮薬の投与

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