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治療のポイント
・自覚症状,身体所見,検査所見から急性脱水症を想起する.
・既往歴,病歴聴取のみならず内服薬の影響も考慮する.
・病態に応じた電解質組成の輸液あるいは経口補水療法を選択する.
◆病態と診断
A病態
・体内水分の喪失が,時間単位あるいは日にち単位で進行した病態である.
・水分と電解質双方の喪失により生じるが,喪失量のバランスにより病態を分類する
高張性脱水:水分喪失>電解質喪失
等張性脱水:水分喪失≒電解質喪失
低張性脱水:水分喪失<電解質喪失
・細胞外脱水と細胞内脱水に分類する方法もある.細胞外脱水は循環血液量減少に直結するので診断しやすい.細胞内脱水は検査値異常が現れにくく診断が難しい.
B診断
・自覚症状では倦怠感,易疲労感,口渇を訴えることが多い.筋けいれん,排尿回数の減少や尿濃縮など乏尿の症状にも注意する.
・病歴では経口摂取量の減少,発汗,多尿,嘔吐,下痢,出血の有無を聴取する.高温乾燥環境にいたか,などの生活歴も重要な手がかりとなる.
・内服薬では利尿薬の有無に注意し,特に最近処方内容の変更がなかったかどうかに注目する.
・基礎疾患に糖尿病,尿崩症,腎疾患,副腎疾患,消化管閉塞性疾患(イレウスの既往)がないかを検索する.
・バイタルサインや身体所見では体重の減少,頻脈,血圧低下,脈圧の狭小化,ツルゴールの低下,皮膚粘膜の乾燥,起立性調節障害などに着目する.
・血液・尿所見では赤血球増多,血清蛋白/アルブミン値の異常,腎機能低下,電解質異常,高血糖に注意する.脱水症を疑う場合には血清浸透圧,尿比重,尿中電解質,尿浸透圧などを追加する.
◆治療方針
以下いずれの治療も,実施した場合には患者の反応をみながら随時効果を判定して,治療法の修正を心がける.
軽症の脱水症,すなわちバイタルサインの大きな変動を伴わず,初期治療のみで病態が改善し,しかも病態を悪化させない療養環境が