頻度 あまりみない
治療のポイント
・外傷の合併率が高い.
・心電図モニタリングやコンパートメント症候群への対応が必要である.
・深部組織損傷による凝固壊死の影響をふまえた輸液計画が必要である.
◆病態と診断
A電撃傷
・電撃傷の重症度は,電圧,電流量,直流交流の相違,体内電流の道筋,接触時間,組織抵抗値によって決まる.組織抵抗値は神経,血管,筋肉,皮膚,腱,脂肪,骨の順に高くなるため,組織抵抗値に比例して発生するジュール熱に応じて皮膚や深部組織に多様な凝固壊死が生じる.
・電撃傷による組織損傷には,電流のジュール熱による深部熱傷,電源と目標物の接点までに生じるアーク(電弧)による皮膚熱傷,4,000℃以上に発火して生じる閃光熱傷の3つがある.
・古典的には,1,000V未満の低電圧損傷は限局的となるのに対して,1,000V以上の高電圧損傷ではクラッシュ症候群に類似した高度な深部組織損傷を呈するとされる.