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熱傷の局所療法
local burn wound management
今井啓介
(前 大阪市立総合医療センター・形成外科部長)

GL熱傷診療ガイドライン(改訂第3版)(2021)

治療のポイント

・熱傷を生じた原因,熱傷面積を確認する.

・熱傷深度に応じて外用薬を選択する.

・熱傷深度の判定は,受傷数日後にも再判定を行う.

◆病態と診断

A病態

・熱傷は深度によって通常3段階4分類に分けられる.

・Ⅰ度熱傷(EB:epidermal burn)は,表皮基底層,真皮乳頭層までの熱傷で,発赤と軽度の浮腫を認める.通常1週間以内に治癒する.

・Ⅱ度熱傷は以下の2つに分類される.浅達性熱傷(SDB:superficial dermal burn)は真皮網状層の中層までの熱傷で,底部に赤みと疼痛を伴う水疱形成を認める.皮膚の上皮系幹細胞が残存するため受傷後7~14日で上皮化治癒する.深達性熱傷(DDB:deep dermal burn)は真皮網状層の深層まで達する熱傷で,底部が蒼白色の水疱形成を認め,知覚鈍麻を生じる.皮膚付属器がほとんど残存しないため,主に創縁周囲からの上皮化で治癒する.小範囲でも治癒に3~4週かかる.

・Ⅲ度熱傷(DB:deep burn)は皮膚全層・皮下組織まで達する熱傷で,組織は羊皮紙様や炭化を呈し無痛である.上皮化に1~数か月を要し,通常,外科処置を必要とする.

B診断

・深度判定は,多くは視診・毛細血管再充満時間(capillary refilling time)・刺針試験によるが,レーザードップラー血流測定法やビデオマイクロスコープは診断に有用である.

◆治療方針

 受傷直後の例では,水道水などで30分以上冷却する.また,創が汚染されている場合は冷却を兼ねて洗浄を行う.水疱蓋は温存するほうが,感染や肥厚性瘢痕の予防・疼痛緩和によい.しかし,関節部・腰背部・露出部などの圧がかかる部位では内容液の除去,感染が疑われる場合は水疱蓋の除去が必要である.ドレッシングは,外用薬や創傷被覆材を用いて行う.

 ガーゼ交換時は

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