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頭部外傷
head injury
小野 元
(聖マリアンナ医科大学准教授・脳神経外科学)

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GL頭部外傷治療・管理のガイドライン第4版(2019)

ニュートピックス

‍ (小児頭部外傷)

・スポーツ関連頭部外傷は増加しているが,軽症例が多い.

・虐待による頭部外傷も増加傾向にあり,乳児に多く中等症や重症が多い.

治療のポイント

・頭部外傷の現病歴(外傷場所,時間,受傷機転など)の確認.

・GCSスコア(満点15点)による意識レベル評価や神経脱落所見,健忘,けいれんなどの有無の確認.

・打撲部位の頭皮腫脹や出血,擦過傷の有無などの確認.

・画像診断で頭蓋骨・頭蓋底の骨折所見,頭蓋内病変の確認.

◆病態と診断

A病態

・脳損傷の発生機序は古くからの研究により,①直接外力により直下の頭蓋骨や脳への圧迫が生じる機械的損傷,②並進加速度衝撃による打撃部側の脳損傷(coup injury)・対側極への脳損傷(contrecoup injury),③回転加速度衝撃によるひずみに伴って生じる皮質下白質から脳深部組織の剪断力による損傷などが挙げられる.

・外傷によって生じる損傷が1次損傷であり,1次損傷に続き発生する頭蓋内血腫,脳浮腫,頭蓋内圧亢進,脳ヘルニアが2次損傷とされ,虚血や浮腫,感染などにより悪化する.

B診断

・一般外来でも頭部外傷の評価の基本は,①頭部全体の外表の創部確認,②意識レベル評価(GCSスコア),③神経脱落症状の有無,④健忘の有無,そして⑤症状の経過の確認が重要となる.

・重症度分類はGCSスコアによる分類(軽症=GCS:13~15点,中等度=GCS:9~12点,重症=GCS:3~8点)に従い,その後の診療や予後に反映される.

・画像診断の第1選択は単純頭部CTである.単純頭部X線撮影は,軽症例でCTが実施できない場合や被曝量のためCT検査に家族(親)の同意が得られない小児例の家族説明や診療方針決定には役立つ.

・初回CT後にrepeat CTを必要とする因子には,①意識レベル低

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