治療のポイント
・肺挫傷の治療は,呼吸管理,合併する肋骨骨折などに対する疼痛コントロール,肺理学療法が主体である.
・外科的治療の介入は少ないが,大量の気道内出血,増大する肺内血腫,感染した外傷性嚢胞は手術治療の適応である.
◆病態と診断
A病態
・肺実質損傷の形態には肺挫傷と肺裂傷がある.肺組織の損傷や炎症の過程で,肺胞や間質に漏出した血液や浸出液がガス交換を障害する.また,肺挫傷は急性呼吸促迫症候群(ARDS:acute respiratory distress syndrome)の発症に対するリスク因子の1つである.
・肺裂傷は組織の連続性が失われた状態で,裂傷部位に血腫や空気が貯留した病態を肺内血腫,外傷性肺嚢胞(TTP:traumatic pulmonary pseudocyst)とよぶ.
・肺挫傷の原因は主に鈍的外傷(交通事故や墜落など)で,血胸,気胸,胸壁損傷(肋骨骨折,フレイルチェストな