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切断肢・指再接着
replantation of amputated limb and digit
門田英輝
(九州大学病院准教授・形成外科)

頻度 あまりみない

◆病態と診断

A病態

・切断指(肢)とは,外傷などにより四肢あるいは手指が離断された状態を示す.切断された指(肢)の血流が失われており,そのままでは組織の壊死をきたす.

B診断

・四肢あるいは手指が完全に離断された状態を完全切断,皮膚軟部組織や腱組織などでわずかにつながっているが,血流が失われた状態を不全切断という.

・手掌部より近位の切断を大切断と称する.

・手指の切断は,切断レベルによって遠位から近位に向かって玉井分類zone Ⅰ~Ⅳに分類され,切断部の損傷形態によってclean cut(鋭利切断),crush(挫滅切断),avulsion(引き抜き切断)に分類される.crushやavulsionでは一般的に再接着の成功率は低い.

X線撮影で骨折の程度や部位を評価する.切断指(肢)があれば一緒にX線撮影をするのが望ましい.

◆治療方針

A再接着の適応

 大切断は再接着の積極的な適応であるが,他臓器の損傷や出血性ショックを合併していることも多く,再接着の適応には慎重な判断が必要である.再接着を行う場合,受傷後6時間以内の血流再開が望ましい.

 手指切断では母指切断および多数指切断が再接着の絶対的適応とされる.小児の手指切断も積極的に再接着を行うべきである.冷阻血であれば最長24時間ほど経過しても再接着が可能とされる.一方ですべての手指切断に再接着の適応があるわけではなく,患者の年齢や全身状態,患者の希望,社会的背景,切断レベルを考慮して適応を決める必要がある.

 指尖部レベル(爪甲が存在する部位)の組織量の少ない切断であれば,血管を吻合せずに皮膚軟部組織だけを縫合してもcomposite graftとして生着することがある.

B切断指(肢)の管理

 完全切断の場合,切断された指(肢)を濡らしたガーゼで包んでビニール袋に入れ,氷水を入れた容器などに入れた状態で運搬する.この際,切断

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