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病院外心停止例の治療 [■心肺蘇生・循環系の緊急処置]
out-of-hospital cardiac arrest(OHCA)
今村 浩
(信州大学教授・救急集中治療医学)

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GLJRC蘇生ガイドライン2020

治療のポイント

・社会復帰のためには「救命の連鎖」が迅速・円滑につながらなければならない.地域としての取り組みが重要となる.

・心拍再開後は呼吸・循環・体温・代謝・神経などを包括的に管理する.

◆病態と診断

・成人では急性冠症候群が最大の原因である.

・内因性疾患ではその他に脳卒中(特にくも膜下出血),大動脈疾患,肺血栓塞栓症,心筋疾患,不整脈,気管支喘息などが多い.

・外因性では外傷,窒息,溺水,アナフィラキシー,低体温や熱中症,中毒などがある.

◆治療方針

 救命と社会復帰のためには「救命の連鎖」,すなわち心停止の予防→早期認識と通報→一次救命処置〔心肺蘇生と自動体外式除細動器(AED:automated external defibrillator)〕→二次救命処置と心拍再開後の集中治療のうち,後3項が円滑・迅速につながらなければならない.市民,救急隊,病院など地域全体の取り組みが必要となる.

A市民の参加

1.心停止の予防

 例えば急性冠症候群の場合は心停止の前に胸部症状が先行することが多く,早期に救急要請することで心停止を免れうる.窒息や小児の外傷,溺水なども予防が重要であり,これらを市民に広く啓発する.

2.早期の認識と119番通報,一次救命処置

 居合わせた市民による心肺蘇生の有無は予後に直結する(2020年の目撃のある心原性心停止例の1か月後社会復帰率:市民の心肺蘇生あり10.2%,なし3.8%).一般市民への一次救命処置の普及啓発とAED配備が重要である.「一次救命処置(BLS)―成人」の項(),「一次救命処置(BLS)―小児」の項()参照.

Bプレホスピタルケア

 救急隊は市民から心肺蘇生を引き継ぎ,適応があれば即座に除細動を行い,医師の直接の指示のもとに静脈路確保,アドレナリン投与,器具を用いた気道確保などを行う.すなわち,二次救

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