ニュートピックス
・日本蘇生協議会(JRC)は,国際蘇生連絡委員会(ILCOR)が発行する国際コンセンサス(CoSTR)をもとに,日本の医療状況に即した日本版ガイドラインを発行している.
・「JRC蘇生ガイドライン」は5年ごとに改訂され,最新版は2020年版である.一方,ILCORは新しいエビデンスが蓄積されるごとに,国際コンセンサスを随時アップデートしている.
・最近新たにILCORから発表された国際コンセンサスには,以下の項目がある.
1)患者搬送が心肺蘇生の質に与える影響
2)患者から救助者への新型コロナウイルス(COVID-19)感染リスク
3)溺水の心肺蘇生順序
治療のポイント
・成人の一次救命処置は,胸骨圧迫・人工呼吸・気道異物除去の3本柱から成る一連の救命処置である.特別な医療器具を必要とせず,誰もがすぐに行える.
・市民救助者による救助が不可欠であり,強く,速く,絶え間ない胸骨圧迫が最重要という基本的コンセプトに変更はない.
◆病態と診断
A病態
・心肺停止患者の救命率・社会復帰率は,迅速で質の高い心肺蘇生と早期の電気ショックが強く関与している.
・このため,心肺停止をすみやかに認識し,119番通報(院内であれば救急コール)を迅速に行うことが重要である.
B診断
・反応のない傷病者を発見し,①呼吸をしていない,②普通と異なる呼吸をしている(死戦期呼吸),③判断に迷うときは,心肺停止と診断する.
◆治療方針
A安全の確認
火災現場,周囲の交通量が多い場合などは,安全な場所へ移動して救命処置を開始する.もし安全性が確保できない場合は,傷病者に接触せず救急隊の到着を待つ.救助者が無理をして,新たな傷病者を増やさないことが重要である.
B反応の確認
傷病者の両肩を軽く叩きながら大声で呼びかける.脳梗塞などで半身麻痺になっている可能性もあるため,両肩を叩くのがよい.
C人を集める
反応がない場合は大声で周