治療のポイント
・出生後から思春期までを小児とし,そのうち1歳未満を乳児とする.
・脈拍は,乳児では上腕動脈,小児では頸動脈や大腿動脈で確認する.
・胸骨圧迫は胸の厚さの約1/3の深さで,100~120回/分のテンポで,中断を最小にする.
・救助者が1名のときは胸骨圧迫と人工呼吸は30:2で行うが,2名以上いる場合は15:2で行う.
・脈拍があっても,心拍数が60回/分未満で循環不全がある場合はCPRを行う.
◆病態と診断
A病態
・小児では,成人と異なり呼吸原性心停止が比較的多い.
・心停止に至ったあとの予後は決してよいとはいえず,心停止の予防や心停止前の介入が重要である.
・小児の場合,交通事故に対するチャイルドシートの装着,異物誤嚥・誤飲や窒息に対する身の回りのものの管理や制限,溺水に対する水周辺環境からの隔離や監視などが心停止の予防につながる.
B診断
・反応を確認し,呼びかけに反応がない場合や判断に迷う場合は心停止を疑う.
・胸と腹部の動きを見て呼吸の確認,上腕動脈や頸動脈で脈拍の確認を行う.確認は10秒以内にとどめ,10秒を超える場合は心停止とする.
・脈拍を確実に触れない場合は,心停止として心肺蘇生(CPR:cardiopulmonary resuscitation)を開始する.
・脈拍は触れるが,正常な呼吸がない場合は,呼吸管理を行う.
◆治療方針
蘇生チームに引き継ぐ,あるいは正常な呼吸や目的のある仕草が認められるまではCPRを継続する.
A心停止の治療
心停止を疑うあるいは心停止と判断した場合は応援を求め,緊急通報と自動体外式除細動器(AED:automated external defibrillator)あるいは手動式除細動器を要請する.
CPRは胸骨圧迫から開始する.圧迫方法には両母指包み込み法や片手法などがある.胸骨圧迫は,胸骨の下半分の部位を胸の厚さの約1/3の深さで,100~